mira

シェイプ・オブ・ウォーターのmiraのレビュー・感想・評価

2.0
捕獲された生物を認識することから始まり、それを逃す、また捕獲するといったできごとを繰り返す。シンプルな物語ながら緑と赤による視覚的な演出が豊か。緑の服を着て、緑の生物を愛し、緑の車をクラッシュさせ、緑のキャンディーを噛み砕く。赤は変容の証であり、「食べる行為」紙袋に切断された指を入れる→シリアルを箱から出し食べるーーカットの繋ぎから、猫を食べ、腕を傷つけ、流れる血は赤いドアに導かれる。また、プールから浴槽、土砂降りの雨へーーそして運河へと、水に還元される物語。腐敗する指、再生する毛根、腕の傷、、、と再生/腐敗が、権威の失落と無名人の勝利という逆転現象のドラマを生んでいて見事ではあった。

たがしかし、これがどうも「孤独」であるといったことには懐疑的である。人と繋がろうが、繋がっていようが、もっと言えばパートナーがいようがいまいが、孤独とはいつどこにでも誰にしも存在しうる事柄であり、本作ではそもそも孤独には程遠いだろう。おたくによる仲間内の優しい視線の先にあった夢物語だ。『パンズ・ラビリンス』は大好きですが、これはノレない。あと、性行為がマスターベーション→セックス→カーテンで隠す→抱擁ーーといった「愛」は美しいものだ的な感性が苦手。
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