B

シェイプ・オブ・ウォーターのBのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

(語りたくなったので下の[蛇足]でネタバレしてます)

こんな素晴らしい愛の物語は他に無い!って思うくらい感動した。パンズラビリンスの時も思ったけど、ギレルモ監督の現実とお伽話の融合のさせ方は本当に凄い。違和感がなさすぎる。すごくファンタジーなのにすっごくリアル。なので、ここで語るのもいいけどこれは「とりあえず見て!!」としか言えない…。水の美しさ、艶やかさの表現の仕方がなんとも素敵。雨の水滴が流れてくっつくところとか…もうなんかそれだけで涙ほろり。あとラストの詩もすごくいい。モザイクはちょっと笑ったけどw




(個人的感想)
ギレルモ作品はやっぱりクリーチャーのキャラデザが素晴らしいですよね…!!あと撮り方も魅力的だしラストは想像にお任せなのにハッピーエンドにしてくれる感じも大好き…。ギレルモ作品大好き…。
ダグジョーンズってヘルボーイの半魚人の時もそうだけど、あんなにも特殊メイク?CG?しまくりなのになんでこう、色気がすごいんだろう。最初は「可愛いなぁ」って思うくらいだったのに終盤あたりは男の色気ムンムンだし、ラストなんて「男らしさ」でしかないっていう…素晴らしすぎて意味がわからない……。良きかな…。あと共感的な意味でいうと、人の感情は目を見れば分かるのは本当にそうだと思いますね。そう思うと、目が見えない場合はどうなんだろう。やはりラストの詩みたいに気配や感覚だったりするんだろうか。


[蛇足]
この作品が好きすぎるので思い出せる限り思い切り語ってみようと思います。完全なる私の解釈なので悪しからず。

まず言葉が喋れないイライザ、と人間ではない容姿でイライザと同じく言葉が喋れない彼。イライザの「彼(ヒトではない生物)が人間じゃないなら私(喋れない人間)もあなた(同性愛者)も人間じゃない」というセリフは普通じゃないから、それは人間ではないというのか、ならその人間ではない、から助けないのか、この愛はおかしいのか、という観客への問いかけが込められている気がした。どんな愛があってもいいだろう、そこに本物の愛があるのであれば。と。
またイライザと彼が手話によって意思が通う瞬間がある。でも意思疎通と心の通いはまた別で、でも人間としての感覚が抜けていない(当たり前なんだけど)イライザは「こんなにも思っているのにあなたにはわからない」って最後まで思ってしまっている。でもラストで、心の通い、絆、愛がしっかりと生まれていることがわかる。でも結局は言葉(手話)で伝えられている。あなたと私はずっと一緒だよ、と。心で分かっていてもどこか不安で言葉で伝え合わなければわからないのはやっぱりそういうことなんだろう。どんなことも結局は言葉にしないと伝わらない、伝わりにくいですからね。

また博士も、生物(彼)を美しいと思い、生かしたいと思う、それも生物に対する愛であり、思う心なのである。彼が助からなかったのはスパイだったというところで"神"は助けなかったのかもしれない。イライザも結局は死んだのかもしれないが、純粋な愛で彼を助けたとするならば、"神"はイライザを助け、ラストのようになっていたんだろうというおじさん(名前わかんないごめ…)の考えなのかな。多分。

博士のスパイっぽいやりとりとかで「長ったらしい言葉は本当に必要なのか?」みたいなことも感じられる。結局合言葉が面倒くさくなってるところでそう思った。

権力だけを必要とし、そのためにはどんなことでもするような男のストリックランドはまず最初に指を失い、さらに最後には喉を切られる。生き延びたとしても声は無くなってしまっただろう。彼の手によって喉を切られるシーンは「目には目を」という形をとっているように思え、「神なのか」とストリックランドが彼に問いかけるシーンはなんとも。ええ。

言葉、容姿、絆、愛、幸せ、信用、死、神…なにかが"ない"ということや"形がない"ことをどう捉えるのか、本当に"ない"ということなのか?ないように思えてしっかりとそこにあるのではないか?というところを「形がないようでしっかりと存在する」ものの代表として"水"で描かれていて、しかもタイトルが"the shape of water (水の形)"…もう、かっこよすぎる。形式は必要なのか?というところね。最近すごい思うことがあったので余計に感動した。こんな素晴らしい作品を映画館で観れたことは幸せ以外のなにものでもない。
B

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