このレビューはネタバレを含みます
おきまりの魔法を捨てたのが最高にロマンティック。
小難しいこと一切なしにしても最高によかった。画面も半魚人もストーリーも余すところなく美しかった。
エログロ多めとは聞いていて、実際グロいシーンはやっぱりいくつか見られず音だけ聞いていたけど……すべてに必然性を感じて、それらの表現をいれてくれてありがとうという気持ち。
「大人のおとぎ話」と言われる作品だけど、これまでのおとぎ話と違うのは半魚人が魔法で人間の姿にならないところ。昨年美女と野獣を観た時には気づかなかった矛盾がないところ。「そのままを愛したはずなのに、どうして人間の姿にならないといけないの？」という、結局イケメン・美女にしか許されないおとぎ話を脱したところだそう。（町山さん解説より）
今思えば、美女と野獣の最後の魔法は、野獣に美貌や富や権力を返した代わりに、完璧でない私たち鑑賞者を美しい幻想から窮屈な社会へ戻していたようなものだ……。最後まで完璧なハッピーエンドをありがとう。美女と魔法を出さずに自腹切ってこれを作ってくれた監督に本当に感謝。
演技もすごくて、半魚人が所作だけでイケメンだし、手話があれほど感情豊かに伝わるのを初めて見た。
水の中にいるようなこだわり抜かれたセット、終始ゆったりと流れ続ける音楽、時代背景と矛盾しないけど現代にぴったり重なる人物の縮図……。
DVDで観かえしたい……
