NaO

シェイプ・オブ・ウォーターのNaOのレビュー・感想・評価

3.8
作品賞はスリー・ビルボード推しだったのと、ギレルモ・デル・トロ作品は[ブレイド2]や[パシフィック・リム]くらいしか観たこと無いしなぁ...と敬遠気味だった今作(ホビットシリーズは鑑賞済)。
話題のネタとして観てみようと思って今更ながら鑑賞。

ふわふわゆらゆら。
水中で心地よく揺られながら漂っているような感じで、終映後立ち上がるのに足元がおぼつかない。その感覚がしばらく抜けなかった。

ことばを話せない女性と人間では無い「彼」のお伽話。
でも、美しいお姫様と 人間では無い生き物に変身させられた王子様は出て来ない。異形な者同士の生々しい恋。

毎日をまるでルーティンのようにただこなしていくイライザは、お世辞でも美人とは言えないけれど。
「彼」と出会って恋をしていくことで、色の無かったイライザの世界が少しずつ色づいていく。これまでずっと抑え込んでいたかのような情熱的な赤い色。
イライザの艶っぽい目がとても美しくて印象的だった。

ことばを持たない者同士だからこその恋、なのだろうけど何故イライザはそんなにも「彼」に惹かれたのか。何故「彼」はイライザを愛したのかがあまり伝わって来ず。
そこをもう少し掘り下げて描いて欲しかった。
イライザが優しかったからとか、最初に食べ物を与えてくれたからとか、幼稚な想像しか出来ず...

イライザの首元の傷も何かしらの伏線なんだろうなって予想してたら、まさにその通りで...
お伽話であるが故、現実世界では生きられないからあのラストだったのだろう。
個人的にはジャイルズに幸せになって欲しい。

たくさんのレビューを読んで「グロい」というワードを何度も目にしていたので、内心ビビりまくっていたのだけど、実際観てみたらなんてことはなく...
ゲーム・オブ・スローンズ耐性のおかげなのか。
ただ猫に対する仕打ちは許せん。弱肉強食の世界をあのシーンに凝縮するにはあまりにもエグい(猫好きなので)。

それとサディスト軍人ストリックランドに言いたい。
「用を足してから手を洗え‼︎」
NaO

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