これは疑いようの無い愛の物語で、何より映画として美しい。始めから終わりまですべてに意味があり、台詞に命があり、音楽に呼吸が、物に気配が、手には温度があった。
これはあらすじや宣伝文句や感想とかじゃ伝えきれない。映像と音があってそして己が観ることでしか感じられないことがたくさんある。
少しずつ増えていく赤を際立たせるように画面を包み込み時に彩る様々な美しい緑。
瞬膜まできちんとデザインされた生き物の造形の美しさと意思を持った動き。
画と人と生き物に惹かれて食い入るように見つめていたし、物語の力に圧倒されて気づけば自分を抱きしめるようにしていた。愛することの力とは単純なものだけれど、だからこそ力強い。