ヤスヤス

シェイプ・オブ・ウォーターのヤスヤスのレビュー・感想・評価

4.3
「美女と野獣」や「人魚姫」など、異種間の恋愛を描いた作品は、数多い。どれも許されぬ愛ゆえ純粋さが際立つが、本作は対象が言葉が通じない異形の半魚人ということで、さらに愛の形が昇華されているように感じた。(サリー・ホーキンスの演技によるところも大きいが…)
半魚人の造形がグロテスクなのに、凛々しくも感じられ、バランスが絶妙。2人の意思疎通の過程も、手話や音楽、ダンスと設定を上手く活用し、洒落ている。
目を奪われるのは、独特の色彩感覚と水を使った描写の美しさ。加えて、セットや小道具の細部にまでこだわりが感じられ、1960年代が舞台でありながら、どこかレトロフューチャー的な未来感を漂わせている。音楽も良い。(ディズニーシーのミステリアスアイランドの雰囲気を感じるのは、気のせいか)
逆に気になったところが二点。一つは、半魚人、発語障害の女性、隣人のゲイの画家、黒人の職場の同僚と、マイノリティの人々を並べ立てているところ。もう一つは、ストリックランドが体現する人物像の描き方。双方ともあからさま過ぎて若干萎える。
とは言え、トータルとして素晴らしい作品であり、作品賞受賞も肯ける傑作だと思う。
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