Yuri

彼女の人生は間違いじゃないのYuriのレビュー・感想・評価

4.0
原作読んでます。廣木監督が小説を書いたのなら、読まないわけにはいかないでしょう。原作とは細部が違っていて、ほんの些細な所なのですが、それが各キャラクターたちの性格を形作るのに、重要なポイントになっていました。瀧内公美=みゆきは、予告やポスタービジュアルだと可愛らしいイメージでしたが、本編では登場した時から表情の疲弊感が凄く、纏う雰囲気は30~40代のようでした。これが、敢えての廣木監督の戦略なのだとしたら流石です。彼女が醸し出す雰囲気だけで、原作のみゆきよりずっとキツい思いを抱えながら生きているのが伝わってきました。あと、前半は勇人(柄本時生)を取り巻く環境がキツかったです。まだ20代で市役所職員になったばかりで、皆と抱えている環境や思いは同じな筈なのに、八つ当たりされたり、心に土足でズカズカ入ってこられたり、それでも光を見つけようと少しずつでも進む姿は、胸に込み上げるものがありました。柄本時生は昔から上手かったですが、良い役者になりましたね。みゆきのお父さんも、お母さんの事が大好きで助けたかった、見つけたかったというのが、痛いほど伝わってきました。全体の構成や雰囲気は映画「怒り」に似てるのですけど、本作のキャラクターたちは、泣かないし叫ばないんです。やりきれない程の怒りや思いはあるのに、やり場がない。ラストのように、命は新たな命によってしか癒されないのだとしたら、それは皆が得られる光ではないけれど、みゆきたちの時間は一筋の光により動き出し、思いが少しずつ昇華されていくのを、エンドロールで感じました。厳しくも優しい苦しい作品です。あと、やっぱり、megの曲はいいな。好きです(^^)
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