零落

あゝ、荒野 後篇の零落のレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
4.4
とても良い映画だった。
初めは、ああキッズリターンねとか思ってたけど、自由や人と人とが繋がるとはどういうことだろうと深く考えさせられるテーマが散りばめられていて、とても濃密な作品。

対戦シーンは迫力あって良かったし、長いのに全体的なバランスが非常に良かった。

人と人とが繋がるには、本気でぶつかり合うしかないのかもしれない。過去を無かったことにして笑う表面的な裕二に対して、殺すまで辞めなかった新治。爆発で逃げ出した、デモをしていた若者たちに対して、最後まで逃げ出すことのなかった健二とその父親。

表面的に自由を叫んでいるだけの若者や自殺志願者は、弱い。結局逃げ出してしまうんだ。逃げずに戦え。どんなにぼろぼろになっても、最後まで戦い抜くしかこのクソみたいな社会という荒野を生き抜く術はないんだ。

本気で人とぶつからなければ、人と人とが繋がるこなんて出来ない。芳子やその母親は、本気で人と繋がるのを恐れている。だから、逃げ出した。薄い繋がりで笑っていれば、幸せか?傷だらけになりながら、人とぶつかって初めて生きていると言えるんじゃないのか?

生きるってことはしんどいよ。でも、愛してくれる人がいるから、愛する人がいるから、自分がそこに生きていていいと思えるんだろうね。
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