えいこ

あゝ、荒野 後篇のえいこのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
4.4
前編の散らかり具合が整理され、後編は主役二人に集中。

憤り憎しみをエネルギーに闘う新次と、自分の足で立ち相手と繋がるために闘う健二の物語。ヤン・イクチュンの繊細な演技に泣く。人はみな社会の様々な場所で、迷いながらも各々のやり方で闘っている。それでいいんだよと認めてもらえる場所で。僕はここにいる。新次の後をついていた健二も自分で決断し居場所を見つけた。打たれても打たれても、みっともなく闘いながらも逃げずにここにいる。拳のぶつかり合いの迫力は半端なく、リングサイドにいるように没入。

学生デモもある種の闘い。相手は見えているか。全力を尽くさず負けてるヤツの姿は見苦しい。許したふりしていちゃいちゃしてんじゃねえよ。新次に言われている気がする。

前編の自殺防止サークルのくだりを削って、不要な濡れ場を省いたら、3時間にまとめられるのではなかろうか。

時々挿入される新宿の高層ビル群の遠景が、歪に進化した現代社会を象徴。挿入歌も効果的。薄汚れた街の中で浮き上がろうともがく新次と健二の放つメッセージはがつんと強い。動機が憎しみであれ繋がりであれ、全力で闘った者にしか得られない答えがそこにある。
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