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アナと雪の女王2のmogのレビュー・感想・評価

アナと雪の女王2(2019年製作の映画)
3.3
Show Yourself的な歌のところはディズニーでも屈指のものすごい完成度だと思う。

ちょっと話が抽象的と言うか象徴的すぎないかなあと不安になっちゃった。作劇的にも物語的に起こらなきゃいけないことが順番に起こるんだけどこれって観てる方が微妙に入り込めないような起こり方だよね。危険だからあなたたちは連れて行けないわ!って言って超危険ジェットコースターソリ巨人行きとか、じいさんの裏切りって言う真実を発見するのもそこに至るまでに苦労してっていうよりなんか唐突だしその直後にエルサが凍るところのもまあ物語的にはそこで凍らざるを得ないわけだけど普通に表面的にストーリーを追ってる方にはなんで凍ったのか良くわからんし。演出が神がかってるから違和感というほどのものは全くないけどやっぱりストーリーへの没入感みたいのはあんまりない気がするなあ。

丁寧に丁寧に従来の男性のロールを否定してる(置いてけぼりにされたところでソロだからねクリストフ。彼のロールは置いてけぼりにされて途方に暮れることな訳だ。スヴェンに乗ってアナを助けるシーンなんて描写すらカット。ダムのシーンでもあくまでも後からやってきて手伝うことしかさせてもらえない笑)ところは前作に引き続きでこれは賛否あるだろうけど個人的にはこういう映画があってもいいとは思うのでそんなに気にならない。全部こうなるとそれはそれでどうなのかとは思うけど。

前作の女性の解放というテーマは、パーソナルな問題として描いたのと姉妹愛の強調とが相まって共感を呼びやすかったんだろうけど、今作は分断をどう解消するかという社会的なテーマが前面に出てきててそこも微妙に物語への没入感や共感を弱くしちゃってるんだろうね。やっぱりShowYourself的なところが映画のハイライトになってるわけで、もっと母親との絆が描いてあれば感情的にももっと共感できて盛り上がるのになあとか思っちゃった。まあさんざん議論した上でこうなってるんだろうとはわかるしバランスが悪いとは全く思わないけど。歪さが持つ熱さみたいなのがないのを求めるならディズニーじゃなくて日本のアニメを見ろって話ですしね。そう言えば観ながらこれディズニー版もののけ姫だなあとかちょっと思わなくもなかったスケールは小さいけど。

でも一つ一つのシーンの美しさとか曲の完成度とかはもうほとんど異常なレベル。テンポよくもすごくよくて間延びするところもないし。とても楽しめました。
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