ぽん

ライオン・キングのぽんのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
2.1
リアルになってもふもふもふでとっても可愛いのだが、リアルになった弊害がいくつもある。
まずキャラクターの表情の変化が乏しい。アニメではデフォルメされたキャラクターたちがコロコロとその表情を変えているので見ていて面白いが、今作はリアルな造形なのでほぼ真顔。犬くらい表情がある動物だったらまだ緩急がついたかもしれないが、ライオンなので常にあの顔。
あとリアルなので最後のスカーとシンバの戦いがどっちがどっちかわからない。
そして、リアルなのにオスライオンにたまたまがないのも気になった。
これは別に良いのだが、動物たちがもふもふリアルになった分、当然虫もリアルになって、虫嫌いの私にはしんどかった。超実写バグズ・ライフとかあったらやばいなと思った。

だがそんなことは些細なことで、一番の問題はスカーの歌う「準備をしておけ」がめちゃくちゃ短くなって殆ど歌ってなかったこと!!!

スカーはディズニーヴィランズの中でもかなり人気を博しているキャラクターだし、さらに彼の歌う「準備をしておけ」はライオンであるにも関わらず大変セクシーで魅力的だ。
初手、スカーの声が江口洋介のぼんやりしたセクシーさとかけ離れた普通の声なことにも正直がっかりしたが、私はそれでも彼の歌う「準備をしておけ」を非常に楽しみにしていた。
「サークルオブライフ」も、「王様になるのが待ちきれない」もほぼ原作通りで(「王様〜」はシンバのこなれた歌い方が若干鼻についたが)、しっかり歌ってくれていたので、スカーの歌も当然原作と同じようにあると思っていた。
けれど今作の「準備をしておけ」は、スカーがぶつぶつ言いながら岩を二、三段ほどかけのぼり、「準備をしておけ準備をしておけ準備をしておけ」と喋るように歌うだけのもの。
非常にガッカリした。
なんで? あのウッキウキで歌うスカー、おしりを振ってランランランとコーラスを歌うハイエナたち。
なぜあれがない??
そのあとのティモンとプンバァのシーンは良かったが、正直頭の中はずっと(あれでスカーの歌は終わり?)という思いでいっぱいだった。

ディズニーはスカーの魅力のことを何一つわかっていない。もうここまでくると気にならなかったスカーの造形まで気に入らなくなってくる。
あれじゃただのヨボヨボしょぼしょぼライオンだ。
しょぼしょぼピカチュウは可愛かったが、スカーの可愛さはそこではなく、セクシーで頭良さそうなのに全然国を統治できてない口ばっかりのポンコツなところにある。すぐ命乞いしようとするのもかわいい好き。
我々スカーオタクが求めていたのは、セクシーでやや骨ぎすの妖艶なライオンなのだ。

スカー様が大好きな私にとって、かなり不完全燃焼となった本作だが、ティモンとプンバァはアニメファンもクスッとする狙ったシーンがあって面白かった。

でもこれ見るならアニメ見ればいいと思う。
そしてスカー様の「準備をしておけ」を心して聴こう。

王様万歳!!王様万歳!!(ケツふりハイエナ)
ぽん

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