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ライオン・キングの42carのレビュー・感想・評価

ライオン・キング(2019年製作の映画)
4.0
映像美と素晴らしい音楽、安定のストーリーが織り成す極上の三重奏でした。

小学生?園児?ぶりのライオンキングでしたが、音楽は勿論、ストーリーも意外と覚えてましたね。
久々に観た感想としては、映画としては面白いけど、ポリシーとしては好きじゃない笑

まず言いたいのは、サバンナの王者はどう考えてもアフリカゾウなので、出だしの百獣が頭を垂れてるシーンの中にゾウ(あるいはキリンやサイ等)がいることが許せないんです笑
まあ、これは人間界で言えば経済界のトップと王族・皇族や宗教のトップとの関係性みたいなものだろうと納得させました笑

問題は大筋の「王族としてのあり方」を巡るストーリー展開でして、結局、世襲OK!王様による統治万歳!みたいなエンドが許し難いです。
このプライドランドのライオン王朝統治下に於ける税金って、つまり生命じゃないですか、元々の意味以上に血税じゃないですか。なんなら血肉税じゃないですか。もちろん、スカーよりムファサ王政の方が国民も生きやすかったと思いますよ。だからって快く生命捧げる生き物なんていないじゃないですか。
本来、プライドランドで誰がトップであろうと、この世界のあり方はムファサの言う通り「サークルオブライフ(食物連鎖)」でしかない訳で、食物連鎖であればトップなんて考え方はない訳です。ただ生きるために日々を過ごす世界の筈なんです。それに気づいたのであれば、シンバには王政的な立ち位置から退いて欲しかったんです。一旦国に戻ってスカー倒してからでいいからハクナマタタで生きて欲しかった。だって、あのジャングルでは食物連鎖から抜けたある種の楽園に生きれるのだから。(ただし、バグズライフは無かったものとする笑)

と、長くなりましたが王族やら皇族(あるいは歌舞伎等世襲的システムが働く職)にも生まれに強制されず、自分の人生を生きる選択をさせてあげるべきと考える身としては快く受け入れられない結末です。シンバ自身で選択した結果ではという考えもあると思いますが、「忘れるなお前が何者か」なんて言われて王様に戻るって生まれた時からの枷から逃げられなかった感があって嫌ですね。

また、アメリカ人にはヨーロッパの絶対主義とは距離を置こうとするアイデンティティがあると思っていたので、アメリカの企業であるディズニーがこうしたストーリーを作り、しかも大ヒットすることにも驚きです。

備忘録として、エンドロールで流れた「He lives in you」(ライオンキング2の曲らしいですが)が凄い好きになりました。
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