ヤマタノオロチ

ボヘミアン・ラプソディのヤマタノオロチのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.0
ラミ・マレックの演技とマーク・マーテルの歌声に圧巻


まず、音響の良い設備で視聴することをお薦めします。本作の半分近くは音楽が占めるのでヘッドフォンやチャンネル数の多い音源で視聴するとより楽しめるでしょう。

音楽シーンは凄くよかったです。映画館に来てるのにライブ会場と間違えるような感覚になります。また、ライブシーンの歌を吹き替えてるマーテルの歌が素晴らしい。フレディ本人とそっくりの声で、再収録された者とは到底思えませんでした。

正直、序盤のマレック演じるフレディは眼がギョロッとしてて「あんま似てないな」と思っていましたが、短髪になったぐらいからフレディ度が急上昇します。終盤になるとただのフレディにしか見えません。他のメンバーも良く似ていましたが、特にブライアン役のグウィリム・リーは若い頃のブライアンと瓜二つ。過去の映像と見比べてみてください。

日本のシーンについては残念ながらカットされた様で、文字で都市名が出てくる他、フレディの家で日本の存在を確認する事が出来ます。金閣寺の御札等日本の物がちらほら映るのでイースターエッグとして探してみると良いでしょう。

この作品で気に入らなかったのは脚本です。存命中じゃないという事もありますが、中盤からフレディがワガママな悪役に描かれてる。実際は個々でソロ活動を始めたのに、「フレディのソロ活動開始によってバンドから距離を置いた」みたいな脚本になってて正直悲しかった。映画の演出としては良かったが個人の名誉を考えると良いとは思えません。フレディが存命中であればこうはならなかったと思います。

映画としての出来栄えはかなりの物です。脚本の悪さを音楽でカバーした感じ。音響と主演でオスカーを取れたのも納得です。

余談ですが、「名バンドで映画作りゃ良作になるだろう」と思われるかもしれません。しかし、この映画は10年以上前から企画され何回も頓挫した事故案件です。そんな事故案件をここまでの作品に仕上げただけでも称賛に値すると思います。
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