タナカリオ

ボヘミアン・ラプソディのタナカリオのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.6
誰しも音楽で感動し、人生を支えられた経験があるだろう。
ライブでの感動はもちろんだが、この映画はただライブ映像を再現するのではない。フレディ・マーキュリーの人生を描き、最後の21分間にその全てを集約することによって真の「映画史上に残るラスト21分」となる。
ライブとは違う、「映画」という媒体を通すことによって新しい音楽体験ができるのだ。

「伝記映画」と呼ぶには史実と違うこともあり、映画の脚色として変えられているとことも多い。
しかし、フレディ・マーキュリーという男を通して、伝記として正しく再現することより、「人に感動を与える」というQUEENの信念を再現したのではないか。そんな気がしてならない。

数々の名曲に劣らない演出。特にボヘミアン・ラプソディができる過程の魅せ方なんてうますぎる。メンバーのお茶目さも魅せながら、QUEENの音楽の意志の強さも魅せる。もしこれが退屈なカットの交互で展開されたら、ここまで胸が熱くならなかっただろう。

魂が震え、身体は自然とリズムを刻む。心だけでなく身体までが動き出す。単純に「伝記映画」や「ミュージカル」と括ってしまうには惜しい。
伝説は伝説のまま、伝説の形で継がれていく。
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