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ボヘミアン・ラプソディの豚のレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.5
イギリスのロックバンド「クイーン」の半生を追ったドキュメンタリー風ドラマ。
クイーンに関する理解度は、いわゆるヒット曲を知っているくらいで、あとはフレディマーキュリーの波乱万丈な生き方だとか、ブライアンメイのギターテクニックとかその程度だった。
そういう意味で、ちゃんと映画を楽しめるか不安だったけれど、蓋を開ければ作品としては非常にオーソドックスかつ知識ゼロの状態でもきちんとわかる構成になっていたので、十分楽しむことができた。

クイーンをクイーンたらしめる力強い歌声やゲイアイコンとして輝いた出で立ちなど、フレディマーキュリーにばかりスポットが行きがちなように見えるけれど、4人でひとつ、バンドは家族という非常に固い絆で結ばれていたのだな、というのが真っ先に抱いた感想。
もちろんロックバンドらしい衝突やすれ違いもきっちり描かれており、作品外でも相当数のいざこざがあったことは予想できるけれど、それでも曲やファンに対する真摯な姿勢は、破天荒な見た目からは想像もつかない、まさにイギリス紳士のような立ち振る舞い。
"つねに新しいやり方を模索する"という、ジャンルの概念にとらわれない奇想天外な発想から、さまざまな名曲が生まれた事実も非常に興味深い。
今でこそありふれた技術となったオーバーダビングや世界で最初のMVといわれる「ボヘミアン・ラプソディ」など、現在の音楽の根底を作り上げた功績は、もはや偉人の枠にカテゴライズしても良いくらいかも知れない。

脚本は可も不可もなくというか、特筆すべき点はありませんが、それゆえ物語に入り込みやすいので、クイーンとフレディの軌跡という意味では無難な作りといえるかも知れません。
よく見ればあんまり似てないんだけれど、それでもかなり再現度の高いラミマレックの熱演はとくに見どころのひとつかと思われます。
パフォーマスは相当高いレベルで"フレディマーキュリー"していました。
終盤のライブシーンも、スタッフやステージ内の小物まで含め凄まじいレベルで再現されていて、観賞後に実際のライブ映像を見てかなり驚きました。
当然ながらライブシーンや歌のシーンが多いため、ややミュージカルチックにも思えますが、元歌の破壊力とフレディの歌声があまりに美しいので、見入ってしまうこと間違いなし。
IMAXで観賞したおかげで、まるで実際のライブを見ているかのような没入感もあり、非常に満足度は高いです。

可能な限り良い音響での鑑賞をオススメしたい作品。
たぶん観た人あるあるだと思うけれど、最近ずっとクイーンの曲ばかり聴いてる。
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