はぎはら

ボヘミアン・ラプソディのはぎはらのレビュー・感想・評価

ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)
4.4
遅ればせながら、レビューあげます。

ラスト20分のライブ・エイドシーンによって、「ボヘミアン・ラプソディ」は特権的な音楽映画として語り継がれるだろう。

これから先、新しい音楽映画を撮る映画監督は誰もが「ボヘミアン・ラプソディ」の20分の映像を意識し、どうしたら超えられるかに頭を悩ませるだろう。
スクリーンに映しだされるライブシーンそれほど素晴らしいものだった。

クイーンほど“ライブ・パフォーマンス”にこだわったバンドはなかった。ブライアン・シンガー監督の意図も明確で、稀代のパフォーマーであるフレディ・マーキュリーとクイーンのライブ・パフォーマンスを映像で再現することにあった。ライブ・エイドのシーンまでの110分余りの物語のエピソードは、すべてライブ・エイドで回収される。

ライブ・パフォーマンスの魅力は、その一回性にある。そのパフォーマンスを共有できるのは、その場にいる観客しかいない。特権的な位置にいるからこそ観客は感動を覚える。

ではこの映画の監督は、稀代のパフォーマーのライブシーンにどんな仕掛けを施したのか?それは映画にしかできない“時間”の仕掛け。ライブパフォーマンスという現在が過去と未来へとつながることを繰り返し描いている。言葉をかえれば「フレディ・マーキュリーの人生の物語」をライブ・パフォーマンスに塗り込めることで、一回性に取って代わる感動を与えている。

僕らはフレディ・マーキュリーの人生の伴奏者としてライブ・エイドに立ち会っている。それほど特権的な立場はない。多くの人が映画館に何回も訪れる所以だと思う。
はぎはら

はぎはら