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リュミエール!のBONのレビュー・感想・評価

リュミエール!(2016年製作の映画)
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1895年のパリにて、“シネマトグラフ”を発明、1本約50秒の映画群を世界で初めて有料上映し、偉大な功績を築き夢を与え続けた映画の始祖である兄オーギュスト・リュミエールと、弟ルイ・リュミエールの2人兄弟。

本作はリュミエール兄弟が生涯で撮影した1,422本のうち、抜粋された108本をテーマごとに章立て・解説入りで4Kデジタルで修復。鮮明によみがえった映像と、当時の時代背景などの丹念な解説、画面は角が丸くなりシネマトグラフの比率で再現されているので、Youtubeでは観られない新鮮な感覚で鑑賞できて非常に面白かった。

私が一番感動したのは 『イワシ漁』 (1896)と、『捕鯨船からの風景』(1897)。大海原でダイナミックに動作する漁師・水兵たち。特に後者は水兵の顔のクローズアップと舟を漕ぐ様がヴィスコンティの『揺れる大地 海の挿話』(1948)のような力強い躍動感で100年以上前から既に切れ味の良い画角が存在し、現在と変わらないリアリティを感じた。

この他『水をかけられた散水夫』(1895)や、『赤ん坊の食事』(1895)、『海水浴』(1895)など、私はパリの街角や汽車よりも「水」と「子ども・赤ちゃん」の要素が印象的で、みずみずしく微笑ましくて透き通っていて綺麗だった。

19世紀末の日常生活を閉じ込めたタイムカプセルを開けたような、色褪せることのない宝物を鑑賞できて良かった。映画の演出や移動撮影やトリック撮影の技法など、現在の映画の原点ともなる全てが最初に詰まっていて、映画って改めて面白い。
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