伊藤

リングの伊藤のレビュー・感想・評価

リング(1998年製作の映画)
4.0
小さい頃に観た時は初めてのホラー映画だった事もあり、貞子のインパクトに圧倒されそれ以降トラウマに。
26歳になり色んな作品に触れてきたからか、改めて観た今この映画の印象は大きく変わった。

導入の2人の少女の会話劇から心を掴まれる。ビデオテープの映像や音が趣味の悪い陰鬱さと謎を感じさせるが、このジャンルの編集としては革新的で教科書のよう。
話が進むにつれて明らかになるのは貞子の過去だけではなく、主人公たちの人物像・関係性。無駄な説明を入れずに超能力要素まで話を持っていくことで視聴者側が自然と説得されていく。
事件の真相へ辿り着くと同時にこの映画最大の安堵がやってくるが、そこから最大の恐怖へ突き落とすという構成にかっこよさすら感じる。
これが終わりのない呪いだと言うことを、女子生徒たちが都市伝説として話す、まさにこの映画の冒頭に戻るかのような、エンディングを迎え、観客は脳内でリングの意味を悟るなんとも美しいタイトル回収。

今の技術と見比べると多少荒削りな部分もあるが、それを踏まえた上でも現代のホラーミステリーでこの作品を超えるようなものはなかなか現れないため、まさに金字塔と言われる作品にふさわしい。
伊藤

伊藤