福福吉吉

ミスター・ガラスの福福吉吉のネタバレレビュー・内容・結末

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

◆注意事項◆
本作は「アンブレイカブル」「スプリット」の内容を前提にしたストーリーになっており、前2作のネタバレになっているため、前2作を観ていない方は以下のレビューを読まないことをお勧めします。

◆あらすじ◆
超人的な能力の持ち主デヴィッドは「群れ」と呼ばれる連続殺人犯を追っており、デヴィッドはついに「群れ」ことケビンに遭遇し、激しい戦闘を始めるが、突如として警察に包囲されて二人とも精神病院に収容される。そこにはかつて列車事故を引き起こしてデヴィッドにより捕まったイライジャが収容されていた。拘束されたデヴィッド、ケビン、イライジャの前に精神科医のエリ―が現れ、3人の特殊能力を否定する精神疾患の治療を始める。

◆感想◆
【本作の主人公】
(1)「アンブレイカブル」
主人公 デヴィッド(ブルース・ウィリス)
壊れない肉体と触れると相手の悪を察知する能力を持つ。
水が弱点。「監視者」と呼ばれ、息子のジョセフと行動する。

(2)「アンブレイカブル」
導く者 イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)
デヴィッドをヒーローに導いた凶悪犯罪者。
天才的な頭脳と生まれつき壊れやすい肉体を持つ。
「ミスター・ガラス」と呼ばれる。

(3)「スプリット」
主人公 ケビン(ジェームズ・マカヴォイ)
多重人格者であり、その人格の1人「ビースト」は凶暴で超人的な肉体と運動能力を持つ。
「群れ」と呼ばれる。
似た境遇で育った女性ケイシーには従順な面を見せる。

本作は以上の3人の主人公と彼らの特殊能力を否定する精神科医エリー(サラ・ポールソン)の攻防戦を描いた作品となっており、「アンブレイカブル」で明らかにならなかったイライジャの力がストーリーを大きく動かしていきます。

本作のキー・パーソンである精神科医のエリ―はずっと謎めいた存在として存在しており、彼女はデヴィッドやケビンに対して完全な隔離と論理的な説明によって2人を精神的に追い詰めていきます。この点、私には彼女の存在がとても不快で、とても煩わしく感じました。しかし、それはデヴィッドとケビンの能力を私の中では肯定しているため、そのように感じるのだと思いました。
彼女の説明によってデヴィッドもケビンも少しずつ心が折れていく様子はとても興味を惹きました。

その一方でイライジャは一切、無言で呆けた状態であったため、エリーはイライジャに対して説得しません。ここからイライジャの策謀が始まっており、イライジャはその裏で動き続けます。この点、イライジャが何をしたのか分かりにくく、結果としてイライジャの思惑どおりになったのですが、今ひとつ心に残るものが無かったと思います。

後半にはデヴィッドとケビンが暴れ始め、ストーリーは静から動へと一気に変わります。また、デヴィッドたちの理解者であるジョセフやケイシー、イライジャの母も動き出すので、加速してく展開の疾走感はとても心地よいものでした。

ラストについてはイライジャらしさが出たもので、彼の思考のスケールの大きさを感じさせるものになっていました。

とても面白い作品でした。三部作の完結に相応しい作品だったと思います。

鑑賞日:2024年1月27日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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