このレビューはネタバレを含みます
「ヒーローは実在するのか?」
いや、本当によかった。3人はああなってしまうけど、でもこれは終わりの物語ではなく始まりの、誕生の物語なんだと思う。そして救いの物語でもある。
ダンは市民のために頑張ってきたのにあの終わり方か…と胸が苦しいけれど。
息子が駅で後ろを振り返った時に誰かがダンの映像を見ていたように、ダンの存在は映像として残され、語り継がれていくんだろうなと思った。それを見た息子の表情に、私は救われた。
「スプリット」では親戚に虐待されていたケイシー、どうなっているかと心配だったけど、スプリットでのあの眼差しはやはり決意の眼差しだったのね。立ち上がって戦ったんだね。よかった。自信を持って堂々と歩くケイシーの姿に感動した。
そしてケヴィンやビースト含めたほかの人格に出会ったことによってケイシーは虐待されている状況から抜け出せて、そしてそのケイシーがケヴィンを救うという今回の流れ。
照明を持つことはできないというケヴィンに、私と一緒に照明のなかに立とうと目を見つめていうケイシー。しっかりと体を抱きしめてあんな風に言ってくれるケイシーに、最後はケヴィンが自ら照明を手にしていたというのが、よかった。
3人を殺して無かったことにしようとしたが、そこはミスターガラスがひとつ上手。きちんと録画をして世界に流していた、というオチ。
ストーリーとしてのどんでん返しは弱いけれど、こうしてヒーロー映画が流行る今の世の中では、この映画の存在自体がどんでん返しみたいなものじゃないかな。
特殊な人はこうして世の中にいるのかもしれない。そういう人たちもまた、愛や救いを求めているのかもしれない。能力に気付かないで過ごしている人たちも、いるのかもしれない。
この三部作、信じるものは救われる、そんな優しい世界でもあると思った。
まだ考えがまとまらないしもう一回観たいな。とてもよかった。
主役3人のキャラは濃いのにそれぞれの良さがきちんとでていて、喧嘩することなく、3人とも素晴らしかった。