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マイティ・ソー バトルロイヤルのkatsuのレビュー・感想・評価

3.6
新「アベンジャーズ」へのカウントダウン!
復讐に燃える最強の“死の女神”ヘラVS.マイティソー率いる型破りのチーム“リベンジャーズ”

【目次】
1 前作までのおさらい
2 あらすじ
3 登場人物/キャスト&監督
4 ネタバレなし感想
4.1 おまけ:ラグナロクについて
5 ネタバレあり感想

《前作までのおさらい》

はじめは第1作目となる『マイティソー』から!

傍若無人な神「ソー」が父「オーディン」の怒りにより、神の力を奪われ地球へ追放。
王としての品格を身につけ、再び愛用していた最強のハンマー「ムジョルニア」を手にするための試練が始まります。
第1作目にふさわしい成長物語になっています。
ラスボスの「ロキ」は、その後も敵対したり仲間になったりと、忙しいキャラクターです。

続いて、第2作目の『マイティソー/ダークワールド』

ダークエルフの力を取り込んでしまったヒロイン「ジェーン」を助けるため、ソーがダークエルフの支配者「マレキス」と戦います。
前作では敵役だったロキがダークエルフに殺された母親の敵を討つためソーと共闘。
しかし、最後は戦いで命を落とします。
と思ったらちゃっかり生きてて、しかも父オーディンとすり替わったりしてます。

さらに、『アベンジャーズ/エイジオブウルトロン』

ストーリーとしては、この物語のあとに『バトルロイヤル』が始まります。
ソーとトニースターク(アイアンマン)、ハルクとナターシャ(ブラックウィドウ)の関係を知るためにもチェックしたほうがいいです。

さらに余裕のある人は、『ドクターストレンジ』と『アベンジャーズ』もチェックすれば、準備は万端です。

っていうか、おさらいする作品多いね。

《あらすじ》

誰にも止められない!限界突破のバトルアクションエンターテイメント。
今、新『アベンジャーズ』へのカウントダウンが始まる!
アベンジャーズの一員ソーの前に<死の女神・ヘラ>が現れた。
復讐と野望に燃えるヘラは、ソーの故郷へ攻撃をはじめる。
故郷を奪われたソーは、この最強の敵を倒すため盟友ハルク、宿敵ロキらと型破りのチーム”リベンジャーズ“を組み極限バトルに挑む。
果たして、ソーたちは史上最強の敵からこの世界を守ることができるのか?
死の女神・ヘラの復讐の目的は!?
そこには、ソーの運命を変える秘密が隠されていた。
新『アベンジャーズ』へのカウントダウンが始まる!

物語の核心に触れられないから勢い重視のあらすじ紹介になってますね。
でも本編も勢い重視ですからちょうどいいかもしれません。

公式ページに秀逸な昔ばなし風動画もありますよ!

《登場人物/キャスト&監督》

★ソー/クリスヘムズワース
=アベンジャーズで”最もアツい”雷神

アスガルドの王子。
武器はムジョルニアと呼ばれる究極のハンマー。
ヘラによって破壊され、惑星サカールに飛ばされてしまう。
現地で囚われていたが、オーディンが予言した「世界の終わり」を阻止するため、アスガルドへ向かう。
相棒のハンマー「ムジョルニア」を破壊され、自慢のロングヘアも刈り上げられ、イメチェンを余儀なくされた主人公の雷様。
でもパンプアップされた上腕二頭筋は健在。
演じるのは、『ラッシュ/プライドと友情』『スノーホワイト/氷の王国』『ゴーストバスターズ』のクリスヘムズワース。

★ハルク:ブルースバナー/マークラファロ
=アベンジャーズで”最もピュア”な怪物

研究者ブルースバナー博士が実験の際、大量のガンマ線にさらされた結果、DNAが進化。
感情が怒りに触れるとアドレナリンが活性化して、最強の超人・ハルクに変身する。
アベンジャーズの一員で、ともに戦ったソーは盟友。
クインジェットでサカール星にたどり着くが、グランドマスターに操られ格闘大会の王者として日々をおくる。
相変わらずマーベル界の最強仕様。
今回はバナー博士の出番も多く、しかも面倒くさい性格でいい感じです。
演じるのは、『キッズオールライト』『フォックスキャッチャー』『スポットライト 世紀のスクープ』のマークラファロ。

★ロキ/トムヒドルストン
=宇宙一の裏切り王子

ソーの弟。
だが、2人に血縁はない。
ソーが留守の間を見はからってオーディンを地球に追放、自らオーディンになりすまし、アスガルドを統治した。
嘘や裏切りは日常茶飯事。
ハルクに叩きのめされた過去があり、以来、彼を天敵と見なしている。
こんなに卑怯な性格なのにファンからスピンオフ映画まで切望されてるなんて。
これだからイケメンってヤツは…。
スピンオフ映画ができたらもちろん見に行くけど。
演じるのは、『クリムゾンピーク』『キングコング: 髑髏島の巨神』のトムヒドルストン。

★ヘラ/ケイトブランシェット
=復讐に燃える美しき死の女神

死を司る女神として恐れられる、美しすぎる最強の敵。
変幻自在の能力を操り、ソー自慢のムジョルニアをあっさりと破壊する。
オーディンによると、世界を滅ぼすほどの破壊力を身につけているという。
そのオーディンを恨み、アスガルド崩壊を目論む。
復讐に燃えるのは理由があり、ソーとの因縁も匂わせる。
戦うときは頭部がかに道楽になる死の女神。
ハンマー片手で砕く敵をどうやってやっつけるのか観客全員が気になるところ。
演じるのは、『エリザベス』『ベンジャミンバトン 数奇な人生』『ホビット』3部作、『シンデレラ』『キャロル』のケイトブランシェット。

★ヴァルキリー/テッサトンプソン
=戦闘力MAXの女戦士

ヒューマノイドを装って、賞金稼ぎとしてソーを捕縛。
グランドマスターに売り渡す。
大酒のみで暴れると手がつけられないが、実は女性らしくキュートな面もある。
呑んでばっかりなんで「バッカス(お酒の神)」かと思ったら戦いの女神でした。
戦闘力MAXらしいですが、他キャラが強すぎて目立ってないのが残念。
演じるのは、『ストレンジャーコール』『グローリー/明日への行進』『クリード チャンプを継ぐ男』のテッサトンプソン。

★オーディン/アンソニーホプキンス
=ソーの父であり偉大なる王

ソーの実父。
アスガルドの王。
全能の神でもあり、この世のすべてを見通す力を持つ。
ロキに記憶を消され、地球に追放されていたが、ドクターストレンジによって発見され、記憶を取り戻して「世界の終わり」を予言する。
ヘラとの間には根深い因縁がある。
今回いちばん悪いのはこのジジイだと思います。
前作の「ダークワールド」からどう話が続くのか気になってたら意外とアッサリしてました。
演じるのは、『羊たちの沈黙』『RED リターンズ』『トランスフォーマー/最後の騎士王』のアンソニーホプキンス。

★ヘイムダル/イドリスエルバ
=ソーの国の誇り高き守護神

アスガルドと地球をつなぐ架け橋ビフレストを守っていた、最強の番人。
ロキの謀略で氷漬けにされたこともあるが、その強さは指折り。
今作ではアスガルドの民を守るため、ソーたちとともに派手に戦う!
メインキャラがどんどん馬鹿になっていくアスガルドの世界におけるシリアスキャラの最後の砦。
演じるのは、『プロメテウス』『パシフィックリム』『スタートレック BEYOND』のイドリスエルバ。

★グランドマスター/ジェフゴールドブラム
=格闘マニアのクレイジーな独裁者

宇宙の辺境にある惑星サカールを独裁する統治者。
格闘大会を主催し、服従ディスクで支配下に置いた絶対王者ハルクの挑戦者として、ヴァルキリーからソーを譲り受ける。
なお、『ガーディアンズオブギャラクシー』に登場するタニリーアティヴァン/コレクターとは兄弟である。
ヘラがシリアス担当ならば、グランドマスターはお笑い担当。
側近の太っちょもいいキャラしてます。
ちなみに惑星サカールはハルクの漫画で登場する惑星。
演じるのは、『ザフライ』『ジュラシックワールド/フォーレンキングダム』(18)のジェフゴールドブラム。

★スカージ/カールアーバン
=アスガルドでも屈指の強さを誇る戦士

ヘイムダルに代わって、アスガルドと地球をつなぐ架け橋ビフレストの番人を務める。
ヘラがアスガルドに入国して以降、王家を裏切って彼女の手下となる。
屈指の強さを見せるシーンはまったくナシ。
でもこのキャラの行方はすごく気になりました。
演じるのは、『ロードオブザリング』シリーズ、『スタートレック』シリーズのカールアーバン。

★ホーガン/浅野忠信
=アスガルドの三勇士=ウォーリャーズスリーの一角

ソーに忠誠を誓い、命がけで守ることを信条とする。
ソー不在の中、アスガルドの危機に軍を率いて立ち上がり、ヘラと戦う。
今回は出番が多くてよかったです。
勝てたかどうかは二の次です。
演じるのは、『バタアシ金魚』『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』『私の男』『新宿スワンⅡ』の浅野忠信。

★コーグ/タイカワイティティ(監督)
=惑星サカールの囚人

グランドマスターの独裁に反対し、革命を企てて投獄されている。
ソーとは獄中で出会い、お互いの理解を深める。
その縁で、アスガルドを守る戦いに参加する。
身体はゴツいけどノリは軽めな新キャラ。
そして演じてるのが今回の監督ってところが驚きです。
ワイティティ監督は監督業以外でも、脚本家・俳優・コメディアンとして活躍。
監督と脚本を手がけ出演した『シェアハウスウィズヴァンパイア』がトロント国際映画祭をはじめ、数々の国際映画祭で観客賞を受賞し注目されています。
以前に紹介した映画『ゲットアウト』のジョーダンピール監督もコメディアンでしたし、マルチの才能を持つ人が多いですね。

《ネタバレなし感想》

この映画の感想をひとことで言うならば、

『バトル多め、ギャグ多め、シリアス少なめ』の良くも悪くもマーベル映画

マイティソーのシリーズは、マーベル作品の中では結構シリアス路線でしたが、今回の『バトルロイヤル』はグルリと方向転換してギャグ路線です。
ギャグも種類的にはかなりコテコテなやつで、だれしもがオチを予測できてしまうのに笑ってしまう「上島竜兵の押すなよ系」だったり、単純に見た目で笑わせる「志村けんのアイーン系」だったり。

前回までの世界観を期待した人には期待ハズレでしょう。
一方、マーベルシリーズが好きな人にはアタリでしょう。
例えるならば、良くも悪くも万人受けに「肉多め、ご飯大盛り、その代わりサラダなし」に変更した定食のようです。

タイトルどおりバトル多めです。
代わりにキャラの心情に触れるシーンはほぼありません。
シリーズ3作目として観ればOKですが、『バトルロイヤル』単体で観るとだいぶ薄っぺらい映画になります。

そもそもこの映画は、マイティーソーシリーズはもちろん、過去のマーベル作品をある程度観てる人前提に作られてます。
『マイティソー』『マイティソー/ダークワールド』『アベンジャーズ/エイジオブウルトロン』『ドクターストレンジ』、このあたりは観ておいたほうが、より作品を楽しめると思います。
いや、観ておかないと「あの髭マントの魔法使いだれ?」とか「モニターに出てきた赤毛の女だれ?」と置いてけぼり感を味わうことになります。
ソーとトニースターク(アイアンマン)の間柄を知らないと笑えないシーンもありますし。
さらに『アベンジャーズ』まで観てると、ハルク往年の必殺技が楽しめるはずです。

よくも悪くも既存のマーベルファン向け作品となった『バトルロイヤル』。
次回のアベンジャーズ『インフィニティウォー』につながるシーンもありますので、マーベルファンにはマストの映画ですね。
でも、『ダークワールド』好きと一見さんには結構キビしい映画です。

《おまけ:ラグナロクについて》

『バトルロイヤル』の原題であったり、オンラインゲームでも有名な言葉『ラグナロク』

これは北欧神話における「終末の日」のことで、「神々の黄昏」とも言われます。
ソーにも登場する「オーディン」「ロキ」「ヘラ」「ヘイムダル」といった神々の最終決戦を行います。
早いハナシが「ハルマゲドン」です。

また一方で、コミック版のソーにも「ラグナロク」というエピソードがあります。
こちらはトニースタークがソーの髪の毛からソーのクローンを作り、そいつが「ラグナロク」という名のヴィランになります。
ウルトロンといい、スタークは本当に余計なことをして話を盛り上げてくれます。

《ネタバレあり感想》

いろいろあるので思いつくままに書き殴らせてもらいます。

☆なにもかもオーディンが悪い

間違いなくオーディンが全部悪いですよね。
実の娘をさんざん利用しておいてポイするなんて、誰だって怒るでしょう。
天井画のヘラもブサイクだし、ジジイの悪意を感じます。
そんな悪事を働いておいて、「息子よ、あとは兄弟ゲンカまかせた」とばかりに寿命を迎えて光の粒子になっていくオーディンの無責任っぷりといったらもう。
っていうか神様って寿命で死ぬの?

☆ロキはもちろん悪い

そしてオーディンを老人ホームへ送ったロキにはなんのお咎めもナシですか。
処刑されてもおかしくないと思うんですけど。
『ダークワールド』のラストでどんな展開になるのかとドキドキしたのに、まさか演劇見ながらブドウ食ってるだけだとは。

ちょっと待って!
こいつマットデイモンじゃん!
ジェイソンボーンもついにアベンジャーズ入りですか。
すごいシーンでカメオ出演してきますね。

ロキって『アベンジャーズ』でやらかしたことも不問っぽいんですけど、イケメンだからって甘やかしすぎじゃないですか?
黒スーツ姿がカッコいいとお咎めなしですか?
ドクターストレンジに誘拐されて30分落とされ続けていい気味です。

☆シャーロ…じゃなくてストレンジカッコいい

ストレンジもひよっこ魔法使いからずいぶん貫禄出ましたね。
ソーの髪の毛抜いたのは、せめてもの原作「ラグナロク」へのオマージュでしょうか。
残された名刺の住所が「ベーカーストリート221B」ぽかったのは確実にシャーロック意識してますよね。
はやくドクターストレンジとエヴェレットロスと並んで歩くシーンが見たいです。

☆ヴァルキリーは残念すぎる

新キャラなのにヴァルキリーの見せ場があんまりなかったのは残念でした。
彼女は悪くない、他のヤツらが強すぎるのが悪いんです。
ヘラとの戦いの回想シーンはめっちゃキレイでした。
この映画で一番キレイでした。

☆スカージはおいしすぎる

逆にスカージは見せ場たっぷりでしたね。
変な通販グッズをシャカシャカ振ってるところから只者じゃない感あったよね。
最終的に善と悪のどちらにつくのかわからないから気になるし。
タイタニックの婚約者みたいに逃げて終わりかと思ったら、最後は「デス」と「トロイ」(おそらくスターク産業の製品)を持っての大立ち回り。
感動のシーンであり、科学が宗教に勝った瞬間でもあります。

☆結局だれが一番強いの?

キャラのパワーバランスがイマイチわかりません。
死んだ親父に会ってジャンプ的パワーアップを果たしたソーですが、ヘラよりは弱いっぽい。
そのヘラを退治するために復活した炎の魔神スルト。
でもスルト攻撃しようとしたハルクをみなが必死で止めてるあたり、やっぱハルクが最強なんでしょうか。
でもフェンリルにはハルクけっこう苦戦してたよね。
なんかもう複雑なジャンケンみたいです。
余談ですが、スルトとかロキとかフェンリルとか昔遊んだ女神転生を思い出します。


最後に、浅野がけっこう目立ってて嬉しかったです。
なんかサムライぽかったし。

以上、おバカ映画だとわかって観るとかなり楽しめる(そして記憶に残らない)映画でした!
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