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ロスト・イン・パリのtomie77のネタバレレビュー・内容・結末

ロスト・イン・パリ(2016年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

カナダの雪深い山村に住むフィオナのもとにパリ在住のマーサおばさんからの手紙が届く。老人ホームに入れられるのが嫌で助けを求めるマーサに会いに遥々パリまで来たフィオナだが、肝心のマーサの行方がわからない。なりゆきでホームレスのドムに付き纏われながらおばさんを探し回るフィオナだが、一方でマーサは老人ホームのナースから逃げ回っているため、なかなか会えずにすれ違ってしまう。

身体の動きで笑わせる演出が印象的で、ドアが開いて強風が吹き込んでくるのをパントマイムで表したり、叫び声もあげずにフィオナが橋から逆さまに落ちるあたりは面白かった。慣れない外国で、怖気付きながらもマーサおばさんを探し続けるフィオナの頑張りには思わず応援したい気持ちになる。どこか頼りない女性が騒ぎに巻き込まれて望まない冒険をするはめになるが、それが自分の殻を破るきっかけになるというストーリーも好き。その冒険も、マーサが亡くなったと思って葬儀に参列したら他人の葬儀だったとか、ホームレスのドムに奢って貰ったら実は失くしたフィオナの荷物をドムが拾い、フィオナのお金で支払っていたとか。怖い事は起こらず、どこか間が抜けていて風変わりな冒険なところが好き。川に落とした荷物や失くした携帯、犬など登場する全ての物に意味があり、劇中でちゃんと活用される展開も見事で気持ち良い。

ただ全体的に、コメディの部分の面白さがあまりわからず、笑えず、話に乗れなかった。マーサおばさんとフィオナが何度かすれ違う展開は、マーサおばさんがナースの親切を突っぱねて逃げ回るせいで騒ぎが大きくなっているため、面白いよりもおばさんが周りを振り回している事にイライラする。ドムも結果的にフィオナを助け、2人は良い雰囲気になって終わるが、そもそもフィオナの荷物とお金をすぐに返さず、川に落ちたフィオナをその場で助けなかったドムの印象が良くないので、彼が相手のロマンス部分も良い印象を持てなかった。それでも、どんどんエッフェル塔を登るマーサおばさんをフィオナとドムが追いかけるクライマックスは何処か現代のおとぎ話のような雰囲気で美しかった。
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