ひとりの若い女性の視点から見たおじいちゃんの死。
おじいちゃんが死んだのに、なんで遺族のみんなは悲しそうじゃないんだろう?
彼女の素朴な疑問が印象的だ。
おじいちゃんの死の知らせを聞いた時、自分はセックスしてた。
その罪悪感でさいなまれているというのに。
彼女が想像するに、おじいちゃんの死体の扱いは、ガンジス河に転がっている死体とさして変わらないのでは。
だが、実はそれぞれにおじいちゃんの死を見つめているのだ。
おじいちゃんの長男と次男は、通夜で遺体の隣で、夜通し酒を飲むことで。長女は認知症の母親にその死を語りかけることで。
彼女の目に映るおじいちゃんの死と関係者の思いのギャップ。そこも見どころ。
ラスト、彼女が実際ガンジス河に行ってもらしたひとこと。
「死体ころがってないじゃん」
死に対してのひとつふっきれた思いが、岸野ゆきのの感性を通してじわーっと伝わってくる。