けーはち

ローラーボールのけーはちのレビュー・感想・評価

ローラーボール(1975年製作の映画)
2.8
ディストピア社会のガス抜きのための残酷流血ショー、ローラーボール──アメフトのプロテクターにトゲ付きグローブをつけ鉄球を奪い合うハードな殴り合いを良しとする危険スポーツの花形選手が、上層部の意思で引退を勧告されるのだが、その理不尽に抗い彼は戦い続ける。液体コンピュータAIなどのSFセンスが光る点もあるが、全体に近未来ディストピアの画はイマイチで、上層部が彼を辞めさせたい理由、逆に彼が選手生命を貫く理由も不明なので話もよく分からず。ローラーボールのルールも不明で、運営側の匙加減一つで変わる。総じて意味不明で破綻……だが、バッハなどのクラシックを使った厳かなムードに反し劇中日本人描写のインチキさ、最終戦の「反則なし/時間無制限/選手交代不可」というデスマッチルールの中で潰し合いの果てにドン引きする観客を沸かせる最後の主人公の佇まいなどは印象的。カルト臭を放つ唯一無二の怪作と言える。