りっく

ゲーム・ナイトのりっくのレビュー・感想・評価

ゲーム・ナイト(2018年製作の映画)
3.6
デヴィッドフィンチャー作品をはじめ、犯人が警察を試すように謎を散りばめた猟奇的殺人を繰り返すミステリーというジャンルがある。常軌を逸した主催者が、現実をゲームに変え、血祭りにあげていく。

一方でこちらもフィンチャーだが、その名も「ゲーム」という作品がある。こちらは不可解な事件に巻き込まれた主人公が、実は全てゲームでドッキリでした、と身も蓋もない壮大なコントに付き合わされていたことが発覚する手のものだ。こちらはどんでん返しのカタルシスが待ち受ける一方で、今までの積み重ねを台無しにしかねないリスクも生じる。

本作はそんなミステリーのゲーム性を利用して、オタク的な問題が楽しいなぞなぞ合戦、豪邸で実施される殺人ミステリーゲーム、実際に起こる誘拐事件、そしてゲームから仲間外れにされた警官が企てていた壮大なゲームと、何重のレイヤーを行ったり来たりすることで、目の前で起きていることがリアルなのかフェイクなのかを、観客も登場人物と同じレベルで見極め、困難を乗り越えていく面白さがある。

その境界を行き来することで、時に不謹慎さも含んだ笑いが生じ、時に狂気さえ感じる恐怖を生み出す。その目まぐるしい反転がカオスへと雪崩れ込む終盤は特に面白いが、ややどんでん返しに固執して狙いすぎている印象も受ける。 
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