Uえい

リバー・オブ・グラスのUえいのレビュー・感想・評価

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)
4.0
「ファースト・カウ」が映画館の環境が悪く楽しめなかったので、配信でケリー・ライカートにリベンジ。これがびっくりするほど面白かった。

タイトルはフロリダ州の地域の名称で、映画の舞台になっている。主人公は幼い子供を持つ主婦のコージーだ。今は父親と夫と暮らしているが、ふわっとした不満の様なものを抱えている。

ある日、コージーは衝動的に子供を置いてバーに行ってしまった。そこでリーという同年代の男に出会う。リーは落ちていた拳銃を売りに行く途中で、コージーはその拳銃を人に向かって撃ってしまい、逃避行が始まる。

子供に愛情が持てない主婦が主人公で、偶然出会った男とボニー&クライドの様に逃避行をするというのは「WANDA」を思い出す。

また、「ファースト・カウ」で西部劇というジャンルの再構築という点に監督の特徴が現れているという評を読んだが、確かに本作はアメリカンニューシネマの再構築の様な雰囲気だった。

逃避行のはずが、実際は犯罪(万引きなどの軽犯罪は犯すが)を犯していなかったり、逃げようとするけど料金所で止められたり、現実から逃避しようとバーに行くが結局戻ってしまったりと、冷静に考えると内容が無かったようにも思えるのが面白い。そんな解消されない燻り感というか、もやもやとした感じが残るのは現実の悩みに似ている気がして、心に響いた。

アマプラでも配信されている事に気付いたので別の作品も見ていきたい。
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