朝田

リバー・オブ・グラスの朝田のレビュー・感想・評価

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)
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「オールドジョイ」も良かったけどこれは更に上回って最高だった。永遠に見ていたい。何者にもなれず、何処へも行けない男女の逃避行を捉えたライカート流ニューシネマ。カッコいいオープニングから釘付けだった。銃を持った二人の手元のアップや、後部座席に横たわるヒロインの姿を暗闇から浮かび上がらせるカットなどとにかく画が瑞々しいセンスに満ちてる。ジャズのスコアや取り留めのない脚本などカサヴェテスのアメリカの影を思い出したが、ショットと編集のセンスが単なるusインディ再生産に終わらせない。カットの長さも気持ち良い。車に引かれそうになる女を捉えたカットからバーで二人で飲んでいるカットへの繋ぎ、刑事のオッサンのドラムロール終了から草原を歩く女へ繋げる切れ味良い編集が素晴らしい。退屈な現実を受けいれたヒロインを悲劇的に見せるのではなくただ拳銃を投げ捨てる、というアクションによって見せる演出も粋。ある意味青春の終わりについての残酷な話だが演出の上品さとエンドロールで鳴らされるザ・90sなオルタナロックも相まってどこか解放感がある。とにかく、全てが愛おしくて特別な一本になった。
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