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リバー・オブ・グラスのokawaraのレビュー・感想・評価

リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)
5.0
めちゃくちゃ好き。めちゃくちゃ。


「拳銃魔」その他の逃避行物語に必要な要素は、すべて揃っている。ジャックニコルソンにしか見えない男まで用意されているあたり、ニューシネマ的反抗を予感させる。

うだつの上がらない男女は、拳銃と車を手に入れ、どこか遠くへ行こうとする。
だが実際は生活圏内をグルグル回るだけで、虫も殺せなければ、宿泊代も踏み倒せず、万引きも滑稽に幕引きする。

「人を殺したかもしれない」という不安だけが女を駆り立てているが、それすらも未遂と知った途端、旅は終わり、拳銃もろとも元ある場所へ帰る。

遠くへ行けるのは長距離バスと飛行機だけ。都市と周辺の対比。理想と現実の対比。

でも人生なんて未遂の連続で成り立っているようなもの。
「名を上げたい」とか「広い世界へ飛び出したい」などは無用の妄想でしかなく、それらの「夢」の数々を遂げぬままに死んでいくのが、「普通の」人間だと信じたい。
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