まぐろさばお

ヴェノムのまぐろさばおのネタバレレビュー・内容・結末

ヴェノム(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「優秀だが間抜け」。
社長にこう言われる主人公のトムハーディ演じるエディ。
このセリフがこのシリーズ通しての肝・カラーになっていくんだろうなという感じ。本当は高い能力があるんだけども、彼女のPCから勝手に情報を抜き取れば彼女がどういう危険に遭うのかと考えない、パワーのある取引先を怒らせれば会社がどんな立場に置かれ、関係のない人が職を追われてしまうかも考えない、つまり人付き合いや、気遣い、世渡りといった「人間社会」らしい不文律が出来ないために落ちぶれ仲間外れにされる男エディ。

つまり人間というのは優秀なだけでもダメで、時には強いものにまかれたり、阿諛追従ができなきゃいけないということが、「人間だってある種の寄生生物じゃないか」という事の理由としてあり、それがうまくできない人間エディはある意味では何者にも寄生しない男、宿主である会社が死のうが関係ない男。同じく宇宙生物の中でハブられてきたヴェノムはそこを気に入る。だからこの映画、寄生生物ものであるけれど、主人公は他者に寄生しないで自分の力で切り開く物語でもある。

しかしそんなダークなメッセージもゾンビランドの監督フライシャーが手がけると痛快でユーモラスな映画に仕上がるのでとっても見やすい。どことなく、寄生獣、うしおととら、ETなんかのオマージュなども感じられて日本人でも抵抗なく楽しめます。