みお

BPM ビート・パー・ミニットのみおのレビュー・感想・評価

4.3
120 battements par minute
「今」「映画館で」観る価値のある映画だった。

HIVが広がっていた90年代のパリ。本腰を入れて対策を取ろうとしない政府と製薬会社、そして感染者への偏見と差別に対して抗議運動する若者達のお話。
マイノリティのために闘う!みたいな生ぬるいこと(もちろんマイノリティの人権運動も大変なことですが)じゃなく、生死のかかった必死の戦いだった。

「沈黙は死」「知識は武器」
たくさんの大事な言葉に出会えた。

社会に訴える運動には、「無関心を許さない」という意志の強さがあって、ドキュメンタリータッチのこの作品を通して、鷲掴みにされた。
銃規制のために集まるアメリカの高校生の演説にも瞬きできない程の強さがあったなと、帰りに思い出した…。
エンドロールの間の無音も効果的。

ーーーーーー
授業中の高校に許可なく乱入し(メディアで取り上げてもらうため)、コンドームを配って性教育の大事さを訴えるシーンは、正論すぎたね。性教育ほんとに大事だと思う。若い子にほど、必要な知識。

HIV陽性である主人公の一人 ショーンが、日に日に病状が進行する中で、生を謳歌するように 燃やし尽くすようにナタンと 貪り合うところ、(なんかすごい下品な言い方しか出来ないのが悲しいけど) 私の中で最高のセックスシーンだった… !

ーーーーーー
あとフランスは討論の仕方がしっかりしてるわ…すごい。議論は部屋の中のみ、挙手して指名されてから発言、他人の話は黙って最後まで聞く、拍手やブーイングは発言の邪魔になるのでフィンガースナップとスー(息漏れ音)、当たり前のことだが、見習うとこ沢山あった。

ーーーーー
追記。
観た人は監督のインタビューよむべし。
http://www.webdice.jp/dice/detail/5583/
みお

みお