はなかすちゃん

BPM ビート・パー・ミニットのはなかすちゃんのレビュー・感想・評価

4.3
こういう直球じゃない映画タイトル好き。原題は120 battements par minute(120 beats per minute)。
医学用語だとBPMは心拍数という意味があるらしい。安静時の心拍数の通常が60くらいだから、120っていうとその倍。一生分の心拍数はあらかじめ決まっていて、その数を超えると心臓は止まってしまうなんていう話を聞いたことがある。彼らは人の2倍の早さで血液を送り、2倍のはやさで、2倍の濃密さで人生を生き、命を燃やして闘っていたのかもしれないなあと思う。彼らのはやい鼓動のようなBPMの音楽の中で踊るシーンが何度かあって、明滅する光のなかで身体を揺らす彼らはすごく生きていて美しかった、このシーンではいつも泣いてしまった。かつて一緒に踊った相手がいないフロアを見やるナタン…せつない。

割とベッドシーンは多いんだけど、官能というよりは必死にお互いを求めあうような行為の描かれ方で、今生きているこの瞬間を交わす、ような感じでよかった。ショーンとナタンが初めて夜を過ごすとき、こうなったのは政府のせいだ、そうだね、でも今はヤろう。という台詞が好きだったなあ。チボーとの行為のあとに泣くナタンが辛すぎて。


2018-109