Chico

BPM ビート・パー・ミニットのChicoのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます


ACTUPアクトアップは1980年代に活動を始めたHIV AIDSに関わる非営利団体だ。
彼らのメンバーのほとんどがAIDS患者当人であり、この感染症の認知度を高めるための啓蒙活動や、大手製薬会社や政府に対する抗議行動に積極的に参加している。
それは時に暴力的だったが、90年代から00年代への世界的にみるAIDS患者数の減少や若年層への認知度の高まりから、彼らの残した成果は多大であり、それは彼らの勇気と努力ある行動の結果であり文字通り命がけの功績だ。

映画は監督の経験をベースに90年代初頭の当組織の活動とそれに奮闘し病気に翻弄される若者の人生を描く。光に満ちた映像は命の刹那的輝きとエネルギーの爆発に溢れ、躍動するビート/鼓動に乗って画面のこちら側へ届きそうだ。

キスをしようとした恋人ナタンに、ガンジダ症だからとキスを拒むショーン。印象的なシーンだった。

クラブで踊り狂う若者たち
フロアに光る粒子は汗でありダストであり彼らの生命の輝きだ。
エクスタシーの中でふと現実に戻るナタン。
キラキラした粒子の舞う空間の中で、彼はかつて居た恋人ショーンの不在を噛みしめる。

AIDSは不治の病ではなくなった現代、そのイメージも覆されつつある。
この現状がどんな人達のどのような行動によって成されたのか、その歴史を敢えて振り返ることはこの映画を観なければなかったかもしれない。
Chico

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