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BPM ビート・パー・ミニットのMOEのレビュー・感想・評価

3.7
“沈黙=死”
生きるために声を上げ、生きることを感じるために踊り続けたAct UPパリの若者たちの物語。

正直、21歳の私にとっては、”エイズ”と聞いてもあまり現実感が湧くことはないし、映画の世界のものだと捉えてしまうことがある。単純に、エイズ=不治の病とされていた時代を生きてこなかったからだと思う。
スクリーンを通してだが、その病気の悲惨さに毎度打ちのめされそうになる。

避妊具なしの性行為、薬物中毒など負のイメージが漂うが、理由がどうであれ病気こそが敵だと見なされるべきだし、救わなくていい命なんてない。
治療薬という希望を目の前にしながらも、死んでいく仲間の姿を見送り続ける。
もうこのループを止めたい。もう十分なんだ。
決して行動することを止めない彼らの姿が気持ち良かった。

プライドパレードで、チアをやったり凄く楽しそうに踊っているのを観て自然と笑顔になった。
所々で挟み込まれる野性的なダンスフロアシーンも、登場人物と一緒に”生きる”ことを追体験している感覚にさせられる。
死への絶望と同じくらい、生への渇望が描かれており、バランスが良かったと思う。

PS アデル・エネル、初めてスクリーンで拝めた。めっちゃ顔と雰囲気が好きで、画像検索とかしまくっているくせに、彼女が出ている映画を一本も観ていなかったのです。この作品が初めて。最高でした。
「Portrait of a Lady on Fire」、はよ。
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