相変わらず絵はきれいだが、今回はこれ見よがしなところがなく、複雑な脚本に集中している感じ。ここまでゴチャゴチャにしなくても…と思うが、邪気は強い監督だけに、サイコホラーを撮るとこうなるのだろう。
病的なマリーヌ・ヴァクトはミア・ファローを彷彿とさせ『ローズマリーの赤ちゃん』を意識しているようなデティールも、全体にふんわりと漂う。
社会派ダルデンヌ兄弟作の常連であるジェレミー・レニエの起用には、意外性あり。存分に引き出した彼のセクシーさ、そして合わせ鏡まで使って収めてくれた裸体を堪能したかったのに、日本版の無粋なぼかしにイライラ!
濡れ場の多い作品だが、ペニバンで掘られるノンケ男の痴態まで一般映画で観れるとは…、何とも新しい!
また「女性が受動を装いながらエゴを満たし、挙げ句自滅する」という可能性を、逆風を怖れずに提示。これも監督らしい透徹さで、フェミニズムに便乗し、暴利を貪る女たちに冷や水を浴びせかける。