たく

ラッキーのたくのレビュー・感想・評価

ラッキー(2017年製作の映画)
3.8
頑固ジジイの通称ラッキーが自分の晩年に向き合っていく話。
ハリー・ディーン・スタントンといえば「パリ・テキサス」しか覚えてないけど、なんともいい味出してたね。彼の親友役がデヴィッド・リンチなのがびっくり。

88分と短い映画にしては、冒頭からラッキーのゆっくりした日常を丁寧に描いていくのが良かった。コーヒーマシンの時計表示が初期設定のままなのが彼の孤独な心を象徴してて、終盤でやっと時間設定することで彼の止まっていた時間が動き出すことを表すのが上手い演出。
ラッキーが生涯結婚せず恋愛経験の有無も微妙なのが、もしかして彼はゲイなのか?って思ったね。自宅を訪問した女性に秘密を打ち明けようとするシーンがあるけど、女性が察したような表情をしてそのままに立ち去っちゃうんだよね。

医者から「ラッキーな遺伝子」と言われたり元海兵隊員から「フィリピンで下船しなくてラッキー」と言われたりと、「ラッキー」って言葉を意図的に入れてくる。これは明石家さんまの言葉を借りると「生きてるだけで丸儲け」ってことで、それを彼がいかに受け入れるかっていうのがこの映画の軸になってるわけだね。
ラスト、天に向かってまっすぐ伸びるサボテンの生命力を感じつつ、観客に向かって微笑むラッキーが心地よい余韻を残す。
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