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母という名の女のSAZのレビュー・感想・評価

母という名の女(2017年製作の映画)
2.0
テーマは「母の愛」と欲望をうたっている。が、私は他者という存在は、例え自らの母という血の繋がった存在であってもわかり合うことなどできない、ということを撮っていると思う。
また、メインの登場人物は母と次女だが、個人的にキーとなるのは、サブとして登場する姉の存在。姉は、太っていて、自分に自信がなく、絶えず家庭内にある不穏さや不安を体現する。正に、そこにいることに意味のある演技は注目に値する。冒頭の、本当の主人公は誰か、という点におけるミスリードの誘い方もうまい。
さらに、個人的に興味深かったのは、スパニッシュな家庭における愛情表現の仕方、服や建物の色使いの本当らしいさ。あまりスペイン系が舞台の映画を知らないため、勉強になった。
最後に、男性の監督が撮っているためか、やはり女性同士の生々しさはうまく表現できておらず、そのせいか母の突拍子もなさが非常に際立つ。そのため、テーマとしたかったであろう母の愛よりも、人間は血が繋がっててもこんなにも考え方は違うのだ、そして完全に分かり合えることなどありえない、そもそも家族とは所有の歪んだ相互行為なのだ、という読み方についなってしまう。
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