Arima

女王陛下のお気に入りのArimaのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.0
SF要素の無い当監督作品は初。
そもそも実話ベースという事すら鑑賞後に知る。歴史に疎いとはかくも哀しい。

今作に限らず当監督作の素晴らしいのは、場面転換の何気ないカットで不穏な空気感を表現出来るセンス。
チャプター毎に現れるテロップと相まって、先の展開に釘付けになった。

また、その不穏な空気感の演出で相変わらず傑出しているのが、BGMの使い方。
まっっったく邪魔しないよね!
なのにすっっげぇ煽るじゃん!
音量?選曲?
なにがそうさせているのか。

話としては、最後のイングランド王国女王アンと女官サラ、侍女アビゲイルの三角関係をメインに描く。

取っ付き易い昼ドラ展開の内にアン王女の苦悩が間接的に上手く描かれていた様に思う。
権力を得たいだけの男連中、愛はあるが要所でアンを操ろうとするサラ、優しさを振りまいて実は成り上がる事しが頭にないアビゲイル。そして実子死別の記憶と病気。

こんな逃げ場のない環境に押し込められたアンの心中やいかに。
サラに放った「アビゲイルの様に愛して。」の台詞は哀しかったな。
ん、まんま昼ドラか、これw

それでもラストのアンとアビゲイルのシーンに於いて、実益と愛の狭間で苦しみながらも、運命と己の性からは逃れられない人間の苦しさが、"ぎゅっ!"と表現されており、満足感があった。

「哀れなるものたち」が楽しみ過ぎて...
震える。
Arima

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