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女王陛下のお気に入りのmayaのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
3.9
17匹のウサギを飼う女王と、彼女を取り巻く男女による宮廷ドラマ。遣る瀬無さと滑稽さが入り混じるダークコメディである本作は、脚本はもちろんヨルゴス・ランティモスの手で生み出された映像美(+醜)が格別。中心3人のアカデミー女優たちは容赦なく嘔吐させられたり泥塗れにされたり、馬に引き摺られたりとかなり身体を張っていてびっくり…
ストーリーは取っ付きやすいが、描き方はなんとも底意地が悪い。おかげでドロドロした怖さよりも冷や汗が出るくらいの毒々しさを感じて意外と消耗したな…。かと思えば、「さすが変態監督!(褒めてる)」と思わず手を叩きたくなるようなギャグのようなカットを挟んでくるものだから、作品に翻弄されっぱなしの2時間だった。

鍵はやはり17匹のウサギさんたちなのでしょう。アン女王が17回妊娠して流産や死産などで亡くしたというのは史実の通りだけど、それを元に17匹のウサギをカゴにいれて飼う設定にしてしまうランティモス…うーんお見事。カゴの中のウサギ、ウサギを可愛がらないサラ、アビゲイルに踏まれるウサギ、そして迎えるウサギで埋め尽くされるラストシーン。
撃たれる運命かもしれなくても飛び立とうとする鳩達の方が幸せだったのかも。(最後にSkyline Pigeon流しちゃうのはちょっと直球すぎないだろうか。わかりやすくて良いけど…)
"Fly away skyline pigeon fly
Towards the dreams
You've left so very far behind"

エンドクレジットの文字があまりにも読みづらくて、最後まで意地悪だなあと思いました… でもランティモスはFavouriteです。
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