キャプテンプリン

家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。のキャプテンプリンのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

結婚というのは、
夫婦が人生を共にし、歩んでいくこと。

ちえさんにとって母の死は大きい出来事だったけど、夜中にひっそりと泣いている父を見て、父親にとっても(さらに)大きい出来事だったのだということを子どもながらに知ったのでしょう。

「命尽きても尚……」と美談を語ることはできますが、その現実を目の当たりにしているちえさんは、もっと現実的に「どちらかの人生が終わるまで」というタイムリミットを知っています。

三年という契約更新の時期を迎え、ちえさんは自らの身を以って、命を以って、
「まだ終わらない」なぜならば
「ほら私は生きている」と伝えていたのではないかな、という答えにたどり着きました。

「優しい言葉はときに人を傷つける」、特に最初の結婚で辛い思いをしているデリケートなじゅんさんに対しては、安易に優しい言葉などは掛けられなかったのでしょう。

とはいえ、ちえさんのじゅんさんに対する愛情が溢れたときは「月が」という文学的で、それでいてすごく曖昧な表現として零れていたのでしょうね。




長々と書きましたが、良い映画でした。
キャスティングは完璧な○(は描けないらしいけど)でした。榮倉さんもヤスケンも良かった。

脚本がやや弱く感じたのは、誰もが最重視しているであろうラストの「タイトル回収」を投げたことによることは明白。擁護できません。
「妻の謎の行動には秘密がある」とまで銘打っておきながら、それを明かさないのはあまりにもナンセンスです。

ちえさんの不可解な行動に対して、じゅんさんに感情移入している私たちは置いてけぼりに、じゅんさんだけが答えを見つけるのは不親切でしたね。
せめて「風の音」でなく、ちえさんが手で口をふさぐなどしてごまかして欲しかったです。