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イングリッド ネットストーカーの女のDIZのレビュー・感想・評価

4.2
「イングリッド ネットストーカーの女」

SNS依存症の主人公は毎日キラキラな生活を送るインスタグラマーに憧れて、彼女の住むLAに引っ越して
すべてを彼女と同じにし始め、友達になろうとするサイコホラーかと思いきや…

SNSを利用するすべての人、SNS疲れしてしまっている人は特に観てほしい素晴らしい作品だった。
SNSを利用していると毎日様々な人の幸せそうな写真が目に入り、意識していなくても嫉妬心が芽生えてしまうことはある。

この主人公は異常だけど、共感できる部分も多かった。
人気を集めてる人と同じになればきっと私も同じように人気になれる、と勘違いしてしまい
本来の自分ではなく偽りの自分をSNS上で演じてしまう気持ちは分かる。

毎日目にしてしまう憧れの生活と自分の生活がかけ離れていることを受け入れられず苦悩してしまう人も少なくないだろう。

しかし、SNSに溢れるキラキラしたものたちはすべてが本物かといったら、そうではない。

自分のすべてをインターネットに晒す人はいない。
自分のいいところだけを切り取ってアップしているのだ。

しかし、それに気づけずに
この人は毎日キラキラして羨ましい生活を送っている…
自分にはこんな生活はできないし、永遠に手に入るはずがない…と思ってしまうことによってSNSによる苦悩が始まる。

この作品はそんな風に良いところだけを見て、自分と比べてしまい苦悩してる人たちに気づいてほしい大切なことを訴えている。

すべてがキラキラした生活を送っているように"見えるだけ"だと。
その"キラキラ"には見えないだけでとんでもない努力が積み重なっているのかもしれない。
水面下に隠れているものはSNSでは分からない。

人間、みんな完璧じゃない。
完璧に見えるようにしているだけなんだと気づいて。

自分自身でいることが大切。
嘘の自分を演じ続けても幸せは遠のくばかり。

他人の人生と自分の人生を比べるよりも
今、自身がどれだけ幸せに囲まれているかに気づいてほしい。

そして、SNSに食い殺されるのではなく、人生が素晴らしくなるよう活かせるようになることが大切なんだ、とこの作品は教えてくれた。

主人公の異常なストーキングを面白がって観ていたが、ラストはSNSに対する考え方が変わった傑作だった。

この作品はNetflixで観れます。
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