AtushiMachida

ラッカは静かに虐殺されているのAtushiMachidaのレビュー・感想・評価

3.7
「ラッカ」と聞くと、黒ずくめの衣装を着た男たちが車やトラックに箱乗りし銃や黒い旗を高々と掲げているニュース映像を思い出す。怖いという漠然としたイメージ。でも「ラッカ」という街にはもともと、そこに暮らしている人々がいた。特別な人たちではない。自分たちと同じふつうの人々が、ふつうの暮らしをしていた。アラブの春からアサド政権が崩壊に向かった。それ自体は独裁者からの解放を期待させるものだった。しかし、その隙間にISがやってきた。アサド政権の力が弱くなった隙に彼らはあっという間にラッカを支配した。そしてラッカをISの首都とした。目を覆いたくなるような残酷な処刑。町の人々を恐怖で支配しいくIS。しかし当時の世界の人々はラッカで何が起きているのかを知らなかった。知っているのはあのISが作成したプロパガンダのみ。無実の人々が、理不尽な理由で処刑され続け、空爆の楯にされていた現実は闇に埋もれていた。そんな悲惨な状況を命がけで伝えようしているのが「RBSS(ラッカは静かに虐殺されている)」のメンバー。自分の親兄弟を惨殺され、自分自身も殺害の恐怖にさらされながらもISに対抗していく彼らの姿。ISと闘う一方で、難民としてドイツ国民に決して歓迎されない彼らの姿。そういう現実をどう見るか?とても、考えさせられる素晴らしいドキュメンタリーだった。
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