のうか

テリー・ギリアムのドン・キホーテののうかのレビュー・感想・評価

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ざっくり言えば狂人の話なんですが、本作はテリー・ギリアム監督の創作に対しての狂気が垣間見える私小説的な作品だったように思います。セルバンテスの『ドン・キホーテ』は自らを騎士だと思い込む狂人であり、本作には自らをドン・キホーテだと思い込んでいる狂人が登場します。そうした狂気に触れ続けてCM監督である主人公も少しずつ変わっていく。老人がドン・キホーテに見た夢を追い求めるように、主人公もまた創作や物語の夢を追い求める。その先にあるのは狂気とも知らずに。創作者ゆえのいわゆる『産みの苦しみ』はまさに狂気的。そうしたメッセージ性をシュールなコメディでくるんだ、文学的でありシニカルな作品でした。
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