真魚八重子

団鬼六 蛇の穴の真魚八重子のレビュー・感想・評価

団鬼六 蛇の穴(1983年製作の映画)
3.8
裕福な歴史ある家。坊ちゃんの鋭一(中原潤)は父の死後、会社を継いでいる。彼に性の手ほどきをしたのは、昔からいるお手伝いの文江。鋭一が年頃になってもらった花嫁が志摩いずみ。役名が紫雨子と美しい。しかし鋭一と文江の情事を目撃してしまい、それ以来、夫に抱かれた後は体を洗わずにいられなくなってしまう。
鋭一はSMショーの男(大杉漣)を招いて、紫雨子を緊縛の世界に引き込もうとする。他にも黒髪フェチとか、父親が縄で縊死しているとか色々アリ。

SMが肉体の責めや痛みで関係性を築くはずが、本作は逆に純愛が際立ってくる。危険な吊り橋で、黒の下着姿で緊縛された紫雨子に、鋭一は性行為の後に体を洗われることに傷ついていたのを告白する。紫雨子は文江との不倫関係が許せず、自分だけを愛してほしい、他の人に体液を与えないでほしいと訴える。結局、一途という筋を通したSMの愛の話。

ラスト、可哀想。あれだと、ちょっと羞恥もあって出家したような気もしてしまう。あくまで純愛ゆえだろうけれど。
真魚八重子

真魚八重子