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希望のかなたのOguのレビュー・感想・評価

希望のかなた(2017年製作の映画)
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『ル・アーヴルの靴みがき』に続くアキ・カウリスマキの〈港町三部作〉改め〈難民三部作〉の2作目にあたる『希望のかなた』。
ユーモア、歌(どれも歌詞が最高、「竹田の子守唄」も使われていた)、タバコの煙、そして犬、いつものカウリスマキ節。
でもなんだか今作ではいつもよりたくさん笑わせてもらった気がする。だからこそ扱っているテーマの重さが際立っていた。
極力説明の省かれたセリフの端々に、抑えた演技を淡々とする役者たちのちょっとした表情に、それは見て取れる。
例えば主人公カーリドに浴びせられる「ユダヤ野郎」というセリフには、ヨーロッパの難民問題が抱える歪みを見たような気がした。これは現在の日本にも置き換えることができるし、決して他人事ではない。
たぶんカウリスマキは本気だ。本気で怒っているし、本気で世界をどうにかしようとしている。
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