EDDIE

ビッグのEDDIEのレビュー・感想・評価

ビッグ(1988年製作の映画)
4.2
もし突然12歳の少年が大人になったら?「見た目は大人、頭脳は子供、その名はジョッシュ!」というコナンの逆バージョン。コメディでありながら、心温まる優しい物語。

本作はハリウッドスター、トム・ハンクスの出世作でありながら、ゴールデングローブ賞主演男優賞受賞作品でもあります。
私自身映画好きになった一番の要因は彼の出演作が大きく影響しています。人生でも心に残るベスト作品として『フォレスト・ガンプ』と『グリーンマイル』は必ず入ってきますし、他にも『キャッチミーイフユーキャン』『めぐり逢えたら』『ユーガットメール』『ターミナル』などなど、好きな作品は枚挙に暇がありません。
なのにこの『ビッグ』は観たことがなく、今更ですがとてもいい作品で、また心に深く刻まれた良作でした。

主人公のジョッシュは大人への憧れを持ち、年に一度街にやってくる移動遊園地の奇妙なゲーム機「ゾルダー」に願いを込めます。結果翌日目覚めたら、大人の姿に変化していたという話。
とにかく大人ジョッシュを演じたトム・ハンクスが凄い!まるでティーンエイジャーの少年が憑依したかのような見事な演技で、時にコミカルに、時にセンチメンタルに、我々の心を揺れ動かします。
彼はオモチャ会社で働くことになるんですが、ある日親友のビリーとおもちゃ屋で奔放に遊んでいたところ、会社の社長と遭遇。ジョッシュの特別な感性に可能性を感じたマクミラン社長は、彼を副社長にまで大出世させます。
この時彼らが共に足で奏でる鍵盤のシーンはおそらく映画史にも残る名シーン。本来スタントを使う予定だったそうですが、トムとロバート・ロッジア2人自力で演じ切ったとか。

ほかにも会社の女性社員スーザンとの恋模様なんかは、ジョッシュが大人の階段を登るための演出としては実に見事に作用します。仕事関係のパーティなどの人付き合いに嫌気がさしているスーザンに童心を思い出させてくれる存在として、ジョッシュの存在がどんどん大きくなっていくんですね。子供の頭脳ではあるものの、やはり中学生ぐらいの年代だと大人の女性とのロマンスには憧れるものです。
しかもスーザンを演じる若かりしエリザベス・パーキンスがたまらなくキュート。今でいう『マッサン』のシャーロット・ケイト・フォックスとかトリンドル玲奈っぽさがありますね。

とにかくジョッシュが子供の心のまま大人になり、徐々に大人の世界に順応していく様や本来の自分の居場所を求めての葛藤なども上手く表現されており、笑える作品なんだけども少し胸をくすぐられるような不思議な感覚を味わえる作品です。

ちなみにこの大人ジョッシュ役ですが、もしかしたらロバート・デ・ニーロが演じていた可能性もあったそうですね。まぁギャラが高すぎて断念したそうですが。
他にもトム・ハンクスの役作りを徹底させるために、少年ジョッシュ役のデビッド・モスコーに一度演じさせて、それをトムが真似るという撮り方をしたそうで、何事も工夫だなと感じた次第です。

子供の頃は「早く大人になりたい」という想いを抱いたことのある人もいると思います。私もその1人ですが、なんだかんだ年相応というのがあって、大人の階段っていうのは一段一段登ってこそだなと再認識させられる作品です。だからこそ少年時代も大人になってからも、1日1日を大事に過ごしたいものですね。
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