聖なるもののいけのレビュー・感想・評価

現実の痕跡として、インデックスとして小川紗良の言葉は残る。一方、南美櫻は心霊写真の幽霊のごとき、映り、イコン性を発揮する。映画の二重性がここにも出る。
監督のインタビューにあるように二つの世界を描くことの面白味は感じられる。それが脱構築され、とろけ合う快感は理解できる。
ただ、岩切監督が只者ではないとわかった今、その二項対立を完全にコントロールしているものとして浮かび上がってしまう。故に、自主制作を逆手にとった演出は、苦しくなってしまうのでは？