となりのとっくさん

熟れた快楽のとなりのとっくさんのレビュー・感想・評価

熟れた快楽(2016年製作の映画)
3.5
「年を重ねてこそ辿り着ける、性の境地」
って謳い文句がポスターにあるけど…
コレって年齢の問題ではなく、単に相手に対する好意の度合いの話じゃないのか?
あと性癖。(あ、でも小児性愛は病気だと本で読んだ)

へレーネの不眠も信仰心の喪失も、旦那との生活が原因ではないか。
へレーネを外で働かせないし、夕食はきっちり家で一緒に食べるっていう抑圧的で支配的な旦那に対する拒否反応だと思う。
そんな相手とのセックスは良い訳がない。
(もちろん、こういう人が良い人もいるんだろうけどさ。)

へレーネ1人でハンブルクに行って、数日のあいだ自由に過ごす。エドゥアルトとの出会いもあった。
しかしへレーネは
「身近にあったものがなくなると、自分の存在も見失う」と言う。
完全に共依存ですな、コレは。
すっかり染みついちゃってる位に、あの旦那さんと時間を共にしてるんだな。
だから、性の解放と言うより、心の解放。
共依存からの自己操舵。
エドゥアルトはそれに気づかせてくれた人。
最後は取り繕った笑顔では無く、屈託のない笑顔がキュートでした。

個人的に、エドゥアルトみたいな人の話聞くのめちゃ楽しい。

「定義というのは、反証が出るまでの間続くもの」
ただ、反証に気づかないと永遠に定義できないんだな。


2022-80