Iri17

女と男の観覧車のIri17のレビュー・感想・評価

女と男の観覧車(2017年製作の映画)
3.0
全く成長しない変態ウディ・アレン。キャラクターとは作者の分身、体の一部を切り離したようなものだと脚本家の古沢良太さんが言っていたけど、まさにそれ。変態とヤバい奴しか出てこない。

ウディ・アレンの作品で好きなのは『アニー・ホール』と『ミッドナイト・イン・パリ』。特に後者は人生を変えてくれた1本で死ぬまで忘れない作品だ。
しかし、その後の『ローマでアモーレ』や『教授のおかしな妄想殺人』とその次(タイトルすら忘れた)は全然ハマらない作品で、がっかりした。

今回はその中間くらい。つまらなくはない。しかし面白くもない。感動もないし、学びもない。映像が美しいので惹きつけられるだけだった。
なぜストーリーに入り込めないのか、それは登場人物が全員ヤバすぎて共感できないからである。
マフィアと結婚し逃げてきた女(若気の至りらしいが、いくら若気が至っててもマフィアと結婚しないよ!)、ティンバーレイクにうつつを抜かすおばさん、すぐに手を出すアル中親父、チャラいティンバーレイク。何にでも放火するガキ、誰にも共感できないから、他人事に思えてしまう。

いや分かるよ、やりたいことは。嫉妬によって狂った女を中心に、自分のことが1番大事な人たちが織りなすドタバタ喜劇でしょ?ずっとそれやってるからね、あなたは。
ウディ・アレンのどの作品にも必ずと言っていいほど登場する。インテリ押しつけおじさんが登場し、狂った奴が人を殺そうとし、映画に夢中な男の子は炎によって、悶々とした想いを芸術に昇華しようとしているのだろう。しかし、いつもはどこか魅力的なクズキャラ達が今回はえらくクズなので、全く共感できない。クズ過ぎて。妻の連れ子と不倫する男の本領発揮である。
ずっと同じことやってて、それこそ見飽きた。『ミッドナイト・イン・パリ』なんかはそれこそ一風変わった魅力があったが、それがないと流石にウンザリだ。ラストもなんともパッとしない…

全てのキャラクターがウディ・アレンの一部のような作品で、それこそウディ・アレンを象徴してはいるだろう。「ウディ・アレンって誰?どんな人?」と訊かれたら、『アニー・ホール』のアルヴィー、または『女と男の遊園地』のキャラクターを合体させた男だよと教えたい。
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