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JUNK HEADのRのネタバレレビュー・内容・結末

JUNK HEAD(2017年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

映画館で。

2021年の邦画。

監督は長編初監督デビューの堀貴秀。

あらすじ

絶滅に瀕した人類を救う方法を探すため、1人の男が地下世界へ調査に向かう。そこにはかつて人類が生み出し、独自の進化を遂げた人工生命体マリガンが生活していた。男は人類再生のカギを握るマリガンを探すため広大な地下世界を旅することになる。

GW映画第7弾は話題のストップモーションアニメのこの映画!

前々から一部好事家やフォローさせてもらってるフォロワーさんの間で「ヤバイ!」と噂になっていた作品。俺も気になって観に行きたかったんだけど、残念ながら近くの映画館でやっていなくて諦めていたところ、コロナの煽りを受けて軒並み話題作が延期になったこともあり、近くの東宝シネマでやっていたので、友だち2人とようやく鑑賞。

いやぁ、やっぱもんのすげぇな、これ!!

まず、感想を述べる前に今作、監督、脚本、撮影、編集、デザイン、声優、衣装、デジタル処理、音楽、果てはどうやらパンフレット作成に至るまでほとんど全てを1人のクリエイター、堀貴秀さんが構想、製作約7年かけて作ったという、まさに狂気にも似た執念で作られた一作。

俺自身も小さい頃、ガンダムのガシャポンを使って1人遊びを繰り広げたことはあるけど、それを拡大解釈させ、人様に見せる一本の作品として成立させる、しかもパペットアニメーションの実績がないこの日本で、しかも独学でって考えるとまさに常人にはなし得ない途方もない偉業にも感じる。

で、本編。まず、内容を語る上で欠かせないのが登場するキャラクターたち。

パペットにしてはフィギュア感もある細部にも渡った作り込みで、前半と終盤はヒューマノイド、中盤からはロボットな始終何かしら改造が施されている主人公(パートンという名前だったことを公式サイトで初めて知った)だったり、序盤のコメディリリーフからのまさかの終盤での変貌三バカ兄弟、ヒロインの赤パーカー姿が可愛いニコや腕がムチ状の強面ながら名前がまんまなホクロや「バルブ村」のおかしみのある人々、または「モンハン」のフルフルやバイオシリーズに出てきそうな異形のマリガンたちなど一体一体がまさにオリジナリティと「キモさ」と「愛くるしさ」が混じり合っていて、すごく魅力的。

そして、お話部分はといえば、1人の男が頭の中で長年考えられたストーリーということで、自意識過剰で難解なオナニーストーリーになりがちな予想と反して、ものすごくわかりやすい。

お話は地下世界に人類を救う方法を見つけるため、1人の男が地下世界を旅するというアドベンチャー的な部分を骨格に、でも所々コメディシーンあり、熱いアクションあり、そしてラストはエモーショナルでもある、まさにどこを切り取っても面白みのあるエンタメ作品に仕上がっている。

コメディシーンで笑ったのは、劇中言語はモゴモゴ言ってる、なんかオリジナルな言語なんだけど、「バルブ村」に「職長」と呼ばれる偉いポジのキャラがいて、そいつの腰巾着キャラが「ねぇ、職長!」というセリフが「ネ、ポックンチョ!」と声音と繰り返しの言語でわかる天丼ギャグになっていたり、「カピカピじゃねーか!」の「カピカピ」というワードがそのまんまだったりと言葉的なやりとりのおかしみがあったり、アクションシーンで言えば、やはり3バカ兄弟a.k.a三鬼神の終盤の変貌シーン!!ドーピングで太っちょ体型からマッチョ体型になっての「黒い三連星」のジェットストリームアタックが決まってる!!

でも、その中のフランシスとジュリアンがパートンを助けるために瓦礫の下敷きになるシーンは、それまでのコミカルキャラが嘘のように目から血を流しながら「俺たち天国に行けるよな?」とセリフを吐く姿が単純にカッコ良く、そしてドラマチックだった。

で、犠牲がありながらも、ラスボスを倒して、人類再生のカギである「生命の木」を探す旅にさぁ出発!ったところで…え!!終わっちゃうの!?と思ったら、今作どうやら「壮大な三部作の第一章」らしく、この後二作製作される予定らしい!マジかよ!!

一体完結編が終わるのはいつになるのか…わからないけど、とにかく今から楽しみでしょうがない!!

他にも関西弁のあのインチキ野郎がクモ型マリガンによって呆気なく殺されるシーンや高級食材「クノコ」の収穫方法などいちいち語りたいグロいシーンも盛り沢山で、あんまりこういうインディーでアッパーな作品を観ない友だち2人とも終わった後あれこれワイワイ楽しく喋れたのが嬉しかった!

何より、1人のクリエイターが執念で作り上げたこの壮大な物語を今「劇場で観た」っていう経験だけで本当に得難い感慨がある、本当に稀有な作品だった、オススメです。
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