鷲尾翼

累 かさねの鷲尾翼のレビュー・感想・評価

累 かさね(2018年製作の映画)
3.5
【まとめシネマ】#329

【まとめ】
* 土屋太鳳と芳根京子
* 展開がもったいない
* 舞台版ドロドロ昼ドラ

本作は芳根京子演じる醜い顔でありながら卓越した演技力を持つ女性・累と土屋太鳳演じるある事情から女優業に支障がある舞台女優・ニナが12時間の間顔が入れ替わる口紅をきっかけに舞台女優としての活躍を描く松浦だるまの漫画原作の物語。

本作のWキャストである土屋太鳳と芳根京子の演技力が凄い!

本作では顔が何度も入れ替わる展開・設定だが、実際舞台女優として演じているのは土屋太鳳。まず、小劇場で累と出会うきっかけになった舞台での演技力はどこか物足りない。しかし、中身が累の状態での演技力は明らかに上手くて、欠けていたもの以上の迫力がある!そして、クライマックスの「サロメ」の演技は圧巻!映画とは別で、ひとつの舞台としてお金を払ってちゃんと観たいぐらい演技力の凄味を味わった!

一方の芳根京子の演技力も凄い!
芳根京子の出演シーンの大体は「土屋太鳳演じるニナが累の顔と交換して私生活を過ごす」という性格を演じる役柄。しかも、累のニナの性格は対極的で「陰と陽」のようなものを演じ分ける難しい役だが、それを見事に演じている!特に浅野忠信演じるニナのマネージャーとの電話での会話で、無茶なことを言われ声に上げず、喉の筋で怒りを表現したシーンがGOOD!

後半になるにつれ、様々な新事実が明らかになっていくのだが、それを活かせずにエンディングを迎えてしまうのがもったいない。前半での伏線を回収するというより「新事実」としてどんどん出てきて、結果「〇〇でした」ぐらいの薄い情報でしかなくなるのが残念。

本作は「舞台」という緊張感が常にある話の中、女同士の昼ドラのようなドロドロとした騙し合いを繰り広げる。舞台が好きな人はぜひ。
鷲尾翼

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